アトリエ2 棟をリノベーション ギャラリーのある人が集まる家
Y邸は築70年の母屋の他に、画家だった妻のKさんの父のアトリエが一棟、同じく画家であるYさんのアトリエが一棟、全部で3棟の建物が一つの敷地に別棟で建っていた。「新築も考えましたが、両親が残してくれた建物の面影を感じられて、なおかつ老後も安心して暮らせる住まいがほしいと思ったのがリノベーションのきっかけでした」とYさん。母屋に住みながら2つのアトリエをつなげて一棟とし、Yさんのアトリエは既存のまま、Kさんの父のアトリエを全面的に改修する壮大な計画がスタートした。テーマは「絵描きの家」だ。
メインとなったのは、アトリエ部分を大きなホールとし、いろいろな人が集い、Yさんの絵を鑑賞することができるスペースとすることだった。「亡き父が存命だったころ、アトリエは絵を描く作業以外にも音楽を奏でる人が集まったり、私が習っていたモダンダンスの練習をしたりとさまざまな人が集まる場所でした」とKさん。そこで広いスペースはそのまま展示ホールとし、すべての壁面にピクチャーレールを通した。木の住まいの温かい印象を残しつつ、画廊としてのたたずまいを成立させるために、壁面の白にはこだわった。「母屋にあった建具なども残してもらいました」とうれしそうに話すKさん。ただ、改修は想像以上に大変なものだったという。「思っていたよりも父のアトリエは傷んでいることがわかったんです。でもそこは代表の阿部さんが柔軟に対応してくださって、臨機応変に提案してくれて。私たちもああしたいこうしたい、とアイデアはたくさん出てくるからやりとりが楽しかった」と家づくりを振り返る。
Yさんの作品を収納する画庫は、Yさんのアトリエの一部に新設した。50号(長辺が2590ミリ)程度の大作もきちんと収納できる画庫は、建具からなにからすべて特注になる。「こういうのがほしい、と阿部さんに相談すると『できます』と言ってくださる。安心してお任せすることができました」とYさん夫妻。思い出とこだわりの詰まった新しい住まいで、充実した日々を過ごしている。
DATA
床材 | 無垢(ナラ) |
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内壁材 | ビニールクロス |
屋根材 | ガルバリウム鋼板 |
外壁材 | ガルバリウム鋼板 |
設計・施工/ 株式会社アベ建|竣工 / 2023/9|構造・工法・規模 / 木造軸組工法・2階建 | 敷地面積 / 802.14 ㎡(242.65坪)|床面積 / 327.77㎡(99.15坪)/ 1階 既存76.55㎡(23.16坪)+ 改修201.20㎡(60.86坪)、2階 既存50.02㎡(15.13坪)
暖房設備 / エアコン(電気) | 給湯設備 / エコフィール(灯油) | バス / タカラスタンダード グランスパ | トイレ / TOTO ピュアレストQR | キッチン / タカラスタンダード リフィット | 調理設備 / IH | 窓仕様 / 樹脂サッシLow-Eペアガラス | 断熱材 / XPS(押出ポリスチレン)、吹付ウレタン | 換気システム / 第3種換気
建築総工費 / 3,000万円台
坪単価 /75~80万円