WORKS JUU掲載の施工事例

CASE02 今井ヒロカズ設計事務所 / A邸

地産地消にこだわった自然素材が呼応する家

 結婚以来、転勤族だったというAさん一家。「子どもたちが成長する時期だけでも、環境のいいところに定住したい」という思いで、妻のSさんの出身地である秋田に帰郷したという。
 せっかく秋田で家を持つのだから、秋田の地域活性化に役立つ家づくりがしたいという思いがあったAさん。秋田スギや男鹿石といった、県産材を積極的に使用している今井ヒロカズさんに設計を依頼することにした。外観は3種類の幅の秋田スギ板を縦貼りに。さらに内装だけでなく、目に触れることのない構造に至るまで、秋田スギをふんだんに使用した。また来客が多いというA邸では、靴を脱がずに気軽に接客ができるという理由から土間を採用しているが、その土間には男鹿石を敷き詰めてある。さらに薪ストーブは外国メーカーのものが圧倒的に多いなか、二ツ井の鍛冶屋さんに製作を依頼するなど、まさに地産地消の家づくりとなっている。
「せっかく星がよく見える環境なのだから、星を見る部屋がほしい」というAさんの要望により、2階の天窓は手が届くほど近くに大きく開口。「ここに天体望遠鏡を置いて、星座観察をしたいんです」と話すAさんを、2人の子どもたちががうれしそうに見上げる。さらに「敷地北側に雑木林があるので、緑を楽しめるように北側にも窓を設けました。2方向に開口があるため、通風もよりよく確保できています(今井さん)」と立地に呼応した住みやすさを追求した家であることがわかる。
 Aさん一家は、秋田に帰郷してすぐの頃、祖父母から受け継いだ古い家に住んでいたという。「古い家では段差が多かったし、小さな子どもがいると、ちょっとしたところに思わぬ危険が潜んでいて、ひやっとすることがありました。子どもを一人でトイレに行かせることもできなかったんです」とAさん。「この家は全体が見渡せるし、とても使いやすいので、子どもたちが自分でできることが増えましたね。子どもたちが大きく成長したように感じます」と弾んだ声で語った。

DATA
床材秋田スギ無垢板、蜜蝋ワックス、天然コルク
壁材珪藻土入り薄塗り壁、クロス
窓仕様樹脂サッシLow-Eペアガラス
屋根材ガルバリウム鋼板
外壁材秋田スギ縦貼胴縁押さえ

設計 / 今井ヒロカズ設計事務所 | 施工 / 志村建設株式会社 | 竣工 / 2015/4
構造・工法・規模 / 木造・在来軸組工法・2階建 | 敷地面積 / 226.91㎡(約69坪) | 床面積 / 142.25㎡(約43坪)/ 1階 93.56㎡(約28坪)/ 2階 33.95㎡(約10坪) /  カーポート 14.74㎡(約4坪)

暖房設備 | 蓄熱式土間温水配管 (ガス) / 蒔ストーブ(安保鍛冶屋) | 給湯設備 / エコジョーズ | バス / タカラスタンダード ミーナ | トイレ / LIXIL サティス(1階) / LIXIL アメージュ(2階) | キッチン | タカラスタンダード エーデル | 調理設備 / ガス | 長期優良住宅認定あり

建築総工費 / 2,600万円台
坪単価 / 60~65万円