伝統の大工仕事をベースに シンプルで機能的な住まい

　約160坪の土地に、住宅と大きな車庫が横並びに建っている。緑に囲まれ、米国の住宅のような雰囲気だ。車庫に収まるのは大きなアメリカ車。「愛車のサバーバンを入れられるガレージと家を並べて建てたかった」と、Ｔさんはかねてから思い描いていた風景を形にした。伝統の大工仕事を得意とする棟梁と気鋭の設計事務所の共同作業による、シンプルで機能的なたたずまいが目を引く。
　そろそろ住まいを持ちたいと思っていたところ、かねてからの知人であった櫻田さんに自分のイメージを生かした家づくりを託したいと考えたというＴさん。「櫻田さんには何でも言える仲。直接棟梁と相談しながら家づくりをする機会は珍しいし、ぜひこの人とやってみたいと思いました」と言う。妻のＡさんも「外からは見えない住宅の基礎や構造部分を大切にしていらっしゃるので信頼感がありました。さらに設計会社とのコラボレーションもしていると聞き、おしゃれな家になりそう、という期待感もありましたね」と同調する。「洗面所にボウルを2つと、化粧スペース」「効率的な家事動線」といった要望を伝えた上で、間取りについては一任したという。階段部分を含むと9メートルを超す東西に長いLDKは開放感抜群だ。「LDKは長い時間を過ごす場所なので広々とした空間を希望していました」とTさん。大きな掃き出し窓を通して軒先から柔らかい光が入る明るい空間だ。　
　櫻田建設は家族経営の工務店で、純和風建築も手掛ける。ないものは作るというのがモットーで、高い技術で施主の希望に柔軟に応えているという。キッチンの収納、パントリーのアールの付いた入口、ボウルを2つ備えた洗面スペースなどすべて造作で仕上げた。「友人らにキッチン周りがかわいいと言われます。化粧スペースでは椅子に座ってお化粧ができるのがとても便利」と、Ａさんは満足している。
「見た目だけでなく家事動線もよく考えられていて、家事が劇的にやりやすくなったのが感動的でした」とＡさん。スムーズな家事動線のおかげで家の中を整えておけるので、来客を迎えるのがますます楽しくなったと話すのだった。