WORKS JUU掲載の施工事例

CASE369 花田設計事務所 / F邸

建築物を愛する住み手に贈る スキップフロアのある家

 2階建ての住宅の内部が4層構造になっているスキップフロアの家である。キッチン、リビング、寝室と1層ごとが部屋になっている。1階フロアから屋根までが吹き抜けで、大きく取った窓からの外光が室内全体を満たす。年間の日照時間が短い秋田で、できるだけ明るく暖かく暮らせるようにとの設計者の思いも込められた構造となった。
 Fさんは「人生の目標が家づくり」と公言するほどの建築好き。近代建築が好きで、旅行の目的も建物を見に行くことが多いという。そんなFさんは10年ほど前に花田設計事務所の手掛けた住宅に衝撃を受け、「いつかお願いしたい」という思いを温めていた。3年ほど前の土地取得を機に、住宅建設の計画が本格的に動き出した。「設計した住宅の多くをFさんは見ており、これまでのやり取りなどから好みを汲んでスキップフロアをご提案しました」と花田さんは話す。
 建設地は南北を道路に挟まれ、南側が60センチほど上がっている。土地の高低差を生かしつつ、地面から屋根まで8.6メートルある空間に互い違いに部屋を配している。Fさん夫妻はあらかじめ「床に家具や収納を置かない」「トイレは2カ所」など優先順を付けた要望をまとめて花田さんに渡し、間取りについてはほぼ一任した。「高低差のある土地に、どんな住宅を考えてくれるだろうかとわくわくする気持ちでした」と夫妻は振り返る。
 「第一案の段階で完璧だと思った」というFさん。たっての願いで追加したのが、中2階のリビングから東側に直接出られるウッドデッキだった。当初案は壁だったところにウッドデッキへの出入口を追加したところ、さらに室内が明るくなった。デッキに出て読書などして過ごすのがFさんには至福の時間という。「デッキがリビングの延長になっており、部屋が広く感じられるのもよかった」と言う。
 格好良さの基準は人それぞれだが、設計者と施主の間でその感覚が共有できていることが信頼と満足につながっている。「たくさん要望があって、かなわなかった部分もあります。でも、全体として期待を上回るかっこいい住宅ができたので、花田さんにお任せしてよかったです」とFさん夫妻は笑顔で振り返った。

DATA
床材無垢(オーク)、
複合(合板)フローリング
内壁材ビニールクロス
屋根材ガルバリウム鋼板
外壁材窯業系サイディング、
木材(スギ)

設計 / 有限会社花田設計事務所 | 施工 / 株式会社西村建設 | 竣工 / 2022/5 | 構造・工法・規模 / 木造軸組工法・2階建 | 敷地面積 / 165.74㎡(50.13坪)|床面積 / 93.85㎡(28.38坪)/ 1階 52.58㎡(15.90坪) 2階 41.34㎡(12.48坪)ウッドデッキ 12.14㎡(3.67坪)

暖房設備 / 床暖房(ガス)| 給湯設備 / エコジョーズ(ガス)| バス / LIXIL スパージュ | トイレ / TOTOアラウーノ| キッチン / サンワカンパニー ウィッテ | 調理設備 / ガス | 窓仕様 / 樹脂サッシLow-E ペアガラス | 断熱材 / グラスウール、EPS( ビースポリスチレン)| 換気システム / 第3種換気 | UA値╱0.33/㎡K

建築総工費 / 2,800万円台
坪単価 / 100~110万円