WORKS JUU掲載の施工事例

CASE361 あくび建築事務所 / N邸

住み始めから暮らしになじむ リノベーションという選択

 家づくりをするならを古いものを生かしたリノベーションでーー。Nさん夫妻は当初から中古住宅購入+リノベーションでの住まいづくりを希望していた。「この物件に出会ったとき、一目惚れしたんです」と話すのは妻のSさん。築45年の古い住居は、築年数こそ経っているものの、柱や梁は目の詰まった質のいいスギ材が使われ、建具もこの時代ならではの細やかなつくりが印象的だったという。「代表で設計をやる筒井さんは長年の友人。この物件を見てもらって『この家なら大丈夫』と言ってもらったことで購入を決意しました」と家づくりのスタートを振り返る。
 LDKは二間続きの和室だったところに無垢のオーク材を床に張り、洋室に。Sさんが気に入っていた障子や組子細工の欄間などは生かし、和洋折衷の空間に仕上げた。「リビングは広く、という願いが叶ってうれしい」とNさんも満足げだ。LDKの一角には、Sさんの仕事場として「アクセサリー作りのための小さなアトリエも設けた。「キッチンとアトリエが近いので使いやすいです」とSさんもうれしそうに話す。
 二人の子どもたちはそれぞれ野球チームに所属し、Nさん自身も監督を務めるなど、野球一家でもあるN邸では、ユニフォームの洗濯の負担をいかに軽くできるかも設計のポイントとなった。約8坪程度減築し、そこにウッドデッキを設置。駐車スペースからウッドデッキを通って洗濯室でユニフォームを脱いだら、そのまま浴室へ。これで居住スペースに砂を持ち込むことが大幅に減ったという。「我が家では〝野球動線〞と呼んでいます(笑)。これのおかげで家事がとっても楽になりました」とSさんはホッとした笑顔を見せる。
 中古住宅のリノベーションは近年、JUUでも取材事例が増えてきたが、N邸ほど元の住居を残したデザインは多くはない。「もともとアンティークや古道具が好きなので、生かせるものは生かしてほしいと筒井さんにお願いしました。入居直後から『なんだか落ち着くね』という言葉が自然と家族みんなから出てくるんです」と穏やかな笑顔を浮かべるSさん。断熱改修や現代の住宅設備は取り入れながら快適に、古い物件を住みこなす様子が印象的だった。

DATA
床材無垢(オーク)、サニタリーフロア
内壁材ビニールクロス
屋根材ガルバリウム鋼板 
外壁材窯業系サイディング

設計/あくび建築事務所 |施工 / 山仁建設資材株式会社 | 竣工 / 2023/2 | 構造・工法・規模 / 木造軸組工法・2階建 | 敷地面積 / 230.24㎡(69.65坪)| 床面積 / 146.57㎡(44.33坪)/ 1階 111.79㎡(33.81坪) 2 階 34.78㎡(10.52坪)

暖房設備 / エアコン(電気)| 給湯設備 / エコジョーズ(ガス) | バス / TOTO サザナ | トイレ / TOTO GG | キッチン / エクレアパーツプライベートキッチン+造作| 調理設備 / ガス| 窓仕様 / 樹脂サッシ+ Low-Eペアガラス、アルミサッシ+シングルガラス(既存)| 断熱材 / グラスウール、XPS(押出ポリスチレン)| 換気システム / 第3種換気

建築総工費 / 2,000万円台(税別)
坪単価 / 45~50万円(税別)