WORKS JUU掲載の施工事例

CASE360 Tree / S邸

らせん階段で叶える 家族つながる、温かな住まい

 築30年を超す親族の家を住み継いできたSさん一家。「冬は室内でも息が白くなるんじゃないかというほど寒くて。3人目の子どもが生まれるのを機に、改修工事を検討することにしました」とSさん。
 生かせるものを生かしたい。これがSさん夫妻の強い思いだった。「Treeの照井さんに相談したところ『ぜひそうしましょうよ』と言ってくださって、心強かったです」と妻のMさん。解体時にいったんスケルトンにしているため、見た目は新築と変わらないが、よくよく見ると白に塗装された柱や梁に前住居の面影があるのも好ましい。
 S邸の印象を大きく決めているのが家の中心のらせん階段だ。吹き抜けになったリビング上のハイサイドライトから光が階下に落ちる様子は絵画的ですらある。「冬はペレット一台で全館暖房ができるようにと、2階の主寝室と子ども室を振り分けたいというご要望から、らせん階段をご提案しました」と代表の照井さんは振り返る。
 この吹き抜けの空間は寝室の独立性を保つのみならず、互いの気配を感じながら過ごせるというメリットもある。「個室でもなんとなく家族の話し声が聞こえるのっていいなって日々感じています」とMさん。さりげなく空間を区切りながら、家族をつなぐ。このらせん階段がS邸で果たす役割は大きい。
 上は中学生から下は2歳の子ども3人がいるS邸では、子どもたちに目が届くことやコミュニケーションが取りやすいことも重要だった。キッチンは対面式を採用し、らせん階段をスケルトンに。キッチンに立つと1階が見渡せるようになっている安心感は子育て世代にはうれしい。
 入居して初めての冬を越えたSさん夫妻は「いい冬でした」と口を揃える。「火を見て暮らすってこんなにいいものなんだと実感しましたね。冬がつらくなくなったから、体感的には〝この冬はいつもより短かったんじゃない?〞と思うほど」と朗らかに笑った。
「暮らしていて、常に発見があるんです」とMさんは言う。「リビングの床に寝転んで吹き抜けを見上げたときの景色は私たち夫婦のお気に入り。『ああ、ここもいいな、好きだな』というところを暮らしながらまだまだ発見しているんです」と幸せそうに語るのだった。

DATA
床材無垢(クリ)、クッションフロア
内壁材漆喰、ビニールクロス
屋根材ガルバリウム鋼板
外壁材木材(スギ)

設計・施工 / Tree一級建築士事務所 | 竣工 / 2022/12 | 構造・工法・規模 / 木造軸組工法・2階建 | 敷地面積 / 192.41㎡(58.20坪)| 床面積 / 121.54㎡(36.76坪)/ 1階 75.19㎡(22.74坪) 2 階 46.35㎡(14.02坪)ウッドデッキ 6.62㎡(2.00坪)

暖房設備 / ヒートポンプエアコン(電気)、ペレットストーブ(オルスバーグ製)| 給湯設備 / エコジョーズ(ガス) | バス / Panasonic オフローラ | トイレ / Panasonic アラウーノ、TOTO ZJ1 | キッチン / Panasonic ラクシーナ | 調理設備 / ガス | 窓仕様 / 樹脂サッシLow-Eトリプルガラス | 断熱材 / グラスウール、ロックウール、XPS(押出ポリスチレン)、吹付ウレタン | 換気システム / 第1種換気 | UA値 / 0.35W/㎡K

建築総工費 / 2,000万円台(税別)
坪単価 / 50~55万円(税別)