WORKS JUU掲載の施工事例

CASE354 西方設計 / T邸

高台の家で豊かな眺望と にぎやかな時を楽しむ

「息子の海外赴任が決まったことで、いずれはと思っていた家の建て替え話が始まりました。息子家族は定年まで海外に留まることが決まっているので、今はわたしたちが住んでいます」と話すTさん夫妻。もともと知人であった西方設計に依頼をしたのが、2022年の5月頃。当時を振り返りながら建築家の西方さんはこう話す。
「高台からの眺めがとにかく美しく、天気のいい日には寒風山や鳥海山も見える。この眺望を生かさない手はないと思いました」。南側に面した大開口からの眺めは見事で、LDKにいながら季節の移ろいを間近で感じられる。しっかりとした断熱施工をベースに、日射遮蔽効果のあるトリプルガラスや床下エアコンを機能させることで、一年を通じて室内温度を一定に保つことができる。これだけの大開口ながら、冬場は窓越しの寒さを気にせず、夏場は涼しく過ごせるのは日本のエコハウス業界を牽引してきた、西方設計のノウハウの真骨頂といえる。
 来客が過ごしやすい家であることも、Tさん夫妻の希望だった。「息子家族の帰省時だけでなく、海外からホームステイに来る子どもたちなど普段からたくさんの人が訪れるので、それに合った間取りをお願いしました」と妻のMさん。玄関に近い和室は、主にゲストルームとして使用することを想定。前住居で使用していた欄間や簀す戸どなどが再利用され、和風の落ち着いた空間になっている。和室のすぐそばには来客用のトイレを別に設けた。ゲストルームとTさん夫妻の生活空間はLDKを挟んで振り分けられているため、お互いのプライバシーを保ちながら快適に過ごせるようになっている。
 秋田スギをふんだんに使った室内は木の香りに満ち、外の眺めと相まって心地いい空間に。勾配天井で上に広がりのあるLDKは、最も高い南側で4.6メートルほどの高さがあり、広々とした室内に仕上がった。
 このLDKの大開口とレベルを揃えたウッドデッキは、セカンドリビングやダイニングの延長として使う予定だというのも来客の多いT邸ならでは。元の植栽を生かした庭からは柔らかい木漏れ日が差している。「季節のいい時期は外でお茶や食事を取るのもいいものです」とMさんはほほ笑む。
 眺望豊かな高台の家で、来客とのにぎやかで豊かな時間を過ごす日々を、Tさん夫妻は楽しんでいる。

DATA
床材無垢(スギ)、Pタイル
内壁材紙クロス、ビニールクロス
屋根材ガルバリウム鋼板 
外壁材木材(スギ)

設計 / 有限会社西方設計 | 施工 / えびす工務店 | 竣工 / 2023/3 | 構造・工法・規模 / 木造軸組工法・1階建 | 敷地面積 / 616.44㎡(186.47坪)|床面積 / 143.67㎡(43.50坪) / 1階 143.67㎡(43.50坪)

暖房設備 / 床下エアコン(電気)| 給湯設備 / エコキュート(電気)| バス / LIXIL リデア | トイレ / LIXIL アメージュ KA | キッチン / LIXIL リシェルSI| 調理設備 / IH | 窓仕様 / 樹脂サッシLow-Eトリプルガラス| 断熱材 / グラスウール | 換気システム / 第1 種換気 | 耐震等級3 |Q 値/ 0.86W/㎡K |UA╱0.27W/㎡K |C値╱0.3㎠/㎡

建築総工費 / 4,800万円台
坪単価 / 100~110万円