WORKS JUU掲載の施工事例

CASE326 西方設計 / T邸

北国の冬を明るく過ごせる 長く住み継がれる切妻平屋

 LDKを中心に置いた、ゆとりのある平屋づくり。南向きのリビングに大きな窓を配し、北側のキッチンにも庭を望む窓がある。南北両方から自然光を取り込むため、日中は照明が必要ないほど室内は明るい。長い庇は、夏の日差しを遮るとともに太陽の高度が低くなる冬には光を室内に迎え入れる。秋田の長い冬を明るく暖かく過ごすための、西方設計の理論が存分に生かされた設計だ。
 先祖代々の土地で親の建てた住宅を守ってきたTさん。老朽化に伴い建て替えを考えた際、高性能の家づくりをするビルダーとしてTさんの念頭にあったのが西方設計だった。最初のコンタクトからおおよそ5年ほどをかけて、じっくりと家づくりを行った。「自分で建てる初めての家でしたから、失敗できないという思いが強かった。慎重に取り組みました」とTさんは振り返る。 
70代での新築となったことから、階段の上り下りのない平屋建てで、廊下の少ない効率的な間取りを希望。デザインなど細かい部分はビルダーに任せた。ビルダー側の提案で採用となったのが、近年同社で取り扱う地中熱を利用した暖房システムである。地下6メートルまで打ち込んだ杭から地中熱を取り込む。地中の温度は年間通じて12〜13℃と一定のため、特に冬場は外気を暖めるより効率が良いという。太陽光発電も併用することで暖房、給湯コストをさらに抑えた。
 長く快適に暮らせる住まいを意識し、車いす生活にも対応できるよう玄関にはスロープを設け、室内の段差も解消。トイレには引き違い戸を付け、広く使えるようにした。さらにTさん夫婦は住まいを子ども世代に引き継ぐことも見越して、キッチンカウンターを固定しないなど室内の間取りを変えやすくしておくなどの配慮も怠らない。
 「以前の住まいに対して減築というかたちになったのに、住み心地から言えばむしろ広く感じるほどです」と、Tさん。特に天井の高いリビングの居心地の良さに満足しているという。室内温度は年間通じて約22℃に保たれ「夏も冬も室内ではほぼ変わらない軽装で過ごせる」という。妻のMさんも「朝目覚めたとき、どこも同じ温度なのがいかに快適か実感します」とにこやかに口を揃えた。

DATA
床材無垢(秋田杉)
内壁材エコクロス
屋根材ガルバリウム鋼板
外壁材無垢(秋田杉)

設計 / 西方設計 | 施工 / 池田建築店 | 竣工 / 2022/7 | 構造・工法・規模 / 木造軸組工法・1階建 | 敷地面積 / 1105.70㎡(334.47坪)|床面積 / 132.49㎡(40.07坪) / 1階 115.93㎡(35.06坪) インナーガレージ 16.56㎡(5.00坪)

暖房設備 / 地中熱ヒートポンプ ダクト式エアコン(電気) | 給湯設備 / エコキュート、地中熱ヒートポンプ ダクト式エアコン(電気) | バス / タカラスタンダード エメロードZJ1 | トイレ / LIXIL アメージュ | キッチン / クリナップ STEDIA | 調理設備 / IH | 窓仕様 / 樹脂サッシLow-E トリプルガラス | 断熱材 / グラスウール | 換気システム / 第1種換気 | 太陽光発電設備 / 8.19 kW | 長期優良住宅 | 耐震等級3 | Q 値 / 0.99W/㎡K|UA値 / 0.26 W/㎡K| C値 / 0.1㎠/㎡

建築総工費 / 3,800万円台
坪単価 / 95~100万円
太陽光発電設備費用 / 147万円