子育てを終えた夫婦が過ごす コンパクトで心地よい家

JR秋田駅から徒歩圏内にあるF邸。玄関から扉を開くと、吹き抜けの高い天井に木のぬくもりとアイアンなど
異素材との組み合わせのバランスが心地よいリビングダイニングが広がる。
かつて住んでいた家は、秋田市の郊外にあった。自宅のリノベーションやマンションの購入を検討したが、
リノベーションは今後何度も行う可能性があること、集合住宅は上下の部屋の音が気になること、
そして老後の生活スタイルも考慮して、この場所での新築に踏み切った。
「将来車の運転をやめても買い物など生活に支障のないエリアという条件で土地選びを進めました。
そしてどちらかがひとりになっても、生活に支障もないでしょう」と話すFさん。
雑誌を読み、内覧会にも足を運んでいたとき、気に入ったデザインの家は
すべてTreeの照井さんの建築設計だと気づき、依頼を決めた。
50代での家づくりに、どこか新しさと若い感覚を取り入れながら、木のぬくもりも活かした照井さんのデザインと
大工さんの顔が見える家づくりに賭けてみたいと思ったという。
　以前住んでいた家は、30代の子育て中に急いで建てたため、
「妻の思い通りの家に住まわせてあげるのが夢だったんです」とFさんはにこやかに話す。
妻のＴさんが家づくりで重視したのは、第一に暖かいこと。
冬でもリビングダイニングにあるヒートポンプエアコン一台で家じゅうどこにいても温度差を感じなかったという。
また、Ｆさんは過去に骨折してトイレまで歩けず居間で寝起きする生活を余儀なくされた経験から、
動線にもこだわった。インナーガレージも含めて30坪というコンパクトなつくりは、
介護が必要になっても車いすでも楽にトイレや洗面、寝室に移動できる。
2階の洋室があり、将来的に義母との同居になっても問題がない間取りだ。
「夏には濡れ縁で食事もしてみたい」と話すＦさんご夫妻。
子育てを終え、快適な暮らしを手にして新しい楽しみに胸を躍らせている。