家族が思い思いに過ごす 時をデザインした住まい

　玄関ホールから廊下を通ってダイニングに入ると吹き抜けの開放的な空間にたっぷりの光が降り注いでいる。6人がけのダイニングセットともなるとボリュームを感じさせがちだが、I邸のダイニングはどこか静ひつな雰囲気さえ醸し出している。それは上部の吹き抜けや空間のアクセントになっているアイアンのスケルトン階段による開放感もさることながら、ダイニングとリビング、キッチンなどが分離されることで生まれる空間の落ち着きなのかもしれない。
　家づくりをスタートさせた頃、Iさんは単身赴任で県外在住だった。そこで妻のYさんが中心となり、家づくりがスタート。展示場や内覧会を巡る日々を半年ほど過ごすなかでコーラリーのサイトを見つけたという。「子どもたちも成長してきて、物も増えてくるとアパート生活では
とにかく手狭で。落ち着いて過ごしたくて、家を建てたいという思いが
強くなりました」とYさん。
　だからこそ家族それぞれの個室はしっかりと確保したかった。夫婦ともに家に仕事を持ち帰ることもあるので、自宅で仕事ができる環境も整
えたい。さらに将来的に夫婦どちらかの親と一緒に暮らすことになった際にも個室があったほうがいい。
「部屋数を多く、できれば間取りも広く、その上で高額になりすぎないように。そのバランスを重視しました」とYさん。子ども室3 つと1階には2つの予備室を設けて、家族がそれぞれに自分の時間を楽しめる環境づくりが整った。Iさんは「このコロナ禍で今度はリモートワークが中心になりましたが、一室を完全に仕事部屋として使っています。単身赴任の期間が長く、もともとは妻と子どもたちのために建てる家だと思っていましたが、思いがけず家で過ごす時間を満喫しています」と語る。妻のYさんも「家族全員で家で過ごす時間が増えました。ダイニングやリビング、デッキなどで一緒に過ごす時間と、それぞれの部屋で思い思いに過ごせる時間、両方を持てるようになって、家を持ってよかったと実感します」と目を細めるのだった。