WORKS JUU掲載の施工事例

CASE264 リリーアーキテクツ / K邸

高さと距離、建具と家具で叶えた 開放感と安心感が両立した住まい

「二人の好きなものが定まってきた(妻のRさん)」というタイミングで家づくりを考え始めたというKさん夫妻。木の肌触り、明るく開放的な空間、大きな窓からは木々が生い茂る庭を眺め、木々の間を通ったさわやかな風が抜ける。それでいて、外からの視線を気にせずゆっくりと過ごせる場所。一見矛盾した希望を形にする家づくりだったそうだ。
 その家づくりにともに取り組むパートナー探しには3年もの時間がかかった。「予算の関係で断念したこともあったし、プランニングに納得できないこともあった。何かをあきらめて妥協したくなかった」と夫のYさん。数社の工務店を経て、リリーアーキテクツをパートナーに選んだ。
 プランニングの命題は「開放感と安心感」。開放的でありながら、リ
ビングや寝室には外から閉じられた安心感と落ち着きを。その命題を距
離と高さ、そして建具で解決した。K邸には仕切り壁が極端に少なく、
家一体を複層にまたがる一つの空間にすることで圧倒的な開放感を得た。特に「家の中心ととらえたキッチン(設計を担当したリリーアーキ
テクツの高橋代表)」は天井が高く、家全体を見渡せ、朝には東の窓から朝陽が降り注ぎ、正面に位置するスキップフロアの大窓から庭の木々、その先に抜けた空を眺められる。外とリビングの距離をとることも目的に設けられたスキップフロアは、開放的でいたいときのくつろぎの場。
同じレベルで縁側のようなデッキにつながり、大窓も手伝って、外と内
の中間にあるテラスのよう。ここで愛犬と触れ合う時間も、家で過ごす
喜びの一つだという。
 一方、リビングはラウンジピット(掘り下げ式のリビングスペース)を採用。窓辺にスキップフロアを設けて外から離れた配置にしたこともあって、外からの視線だけではなく、全方向的に外の気配から離れた落ち着けるリビングに。リビングを囲むように配置した家具も、リビングの独自性に一役買っている。そして、2階にある主寝室は、普段は一体の空間に位置するが、就寝時、建具を閉めれば落ち着ける個室に。こうした建具や家具が、開放的な空間を緩やかに分け、ちょっとした閉鎖性や安心感をもたらしている。
 実現するためにリリーアーキテクツが出した建築的解答は、ユニーク
でありながらシンプルかつ明快。そしてその住み心地の良さはKさん夫妻の笑顔がなによりの証明になっている。

DATA
床材無垢(杉、イタヤカエデ)
内壁材塗り壁、タイル
屋根材ガルバリウム鋼板
外壁材金属系サイディング
(ガルバリウム鋼板以外)

設計 / リリーアーキテクツ株式会社 | 施工 / 株式会社半田工務店 | 竣工 / 2019/11 | 構造・工法・規模 / 木造軸組工法・2階建 | 敷地面積 / 343.87㎡(103.81坪) |床面積 / 161.30㎡(48.70坪) / 1階 80.05㎡(24.18坪) 2階 37.26㎡(11.25坪)インナーガレージ 43.06㎡(12.99坪)

暖房設備 / エアコン(電気)、ペレットストーブ | 給湯設備 / エコキュート(電気) | バス / タカラスタンダード リラクシア | トイレ / 1階 LIXIL YBC、2階 LIXIL BC | キッチン / タカラスタンダード オフェリア | 調理設備 / ガス | 窓仕様 / アルミ樹脂複合サッシトリプルガラス | 断熱材 / グラスウール | 換気システム / 第1種換気

建築総工費 / 3,600万円台
坪単価 / 70~75万円