多様な過ごし方を受け止める 自由な空間が、住まいを豊かに

　明るめのブルーの外観に、五角形に張り出したリビングデッキが印象的なY邸。デッキは掃き出し窓で内部へとつながる。「週末になると、気の置
けない知人友人とホームパーティーやバーベキューなどを楽しんでいます」とYさん。平日も長男の友人が遊びに来たり、仕事仲間が顔を覗かせたりとにぎやかだという。
　Yさんの職業は漁師。「冬は本当に寒さが厳しい仕事。帰ってきたときに暖かい家で迎えたかったんです」と話すのは妻のHさん。ビルダー探しを続けること2年重視していた断熱とデザインを両立するコーラリーの住まいが気に入った。
　この家には出入り口が二つある。一つは玄関。もう一つはYさんの自室から出入りする風除室の出入り口である。「以前の住まいでは子どもも小さかったので、１ つの部屋で川の字で寝ていましたが、夜中の1、2時に出漁することも多いので、一人で目覚ましをかけるのは気が引けるところもあった」とYさん。そのため、寝室はそれぞれ別に設けたうえ、専用の出入り口もしつらえた。
「夫は深夜に仕事に出かけ、日中に休んでいることも多いので、お互いに家族の活動や就寝を邪魔しない生活動線が必要でした」とHさん。Yさんの個室と家族の生活スペースをできるだけ分離し、風呂やトイレも夫の部屋の近くに置くことで、お互いの生活音に配慮した。
　「生活時間が違うからこそ、リビングという共有空間を自由に行き来できる家にしたかったんです」とHさんは言う。共有空間が内部・外部どちらにもあることで、ともに過ごす時はよりいっそう充実したものになるに違いない。