キッチンから描き始めた 料理好きの夫婦のための住まい

　コバルトカラーのアイランドキッチンを中心に、ダイニングとリビングまでが一つの空間としてつながるS邸。背面にはガラスのような透明感のあるモザイクタイルをあしらわれている。700リットルの冷蔵庫は家庭用サイズとして最大級のもの。ワインセラーもあるということは、見るからに「料理好きのキッチン」だろう。
　「夫婦ともに料理が好き」と話すSさん。気に入ったキッチンを起点にインテリアを考えていった。床は大理石調のフローリング、白を基調に半現しの梁やキッチンのグレーの下がり天井など、アクセントにダークカラーを配することで、ホテルライクな落ち着いた組み合わせになっている。「夫婦ともに身長は170センチ超と高身長なので、キッチンのカウンター高は通常よりも高くしたいとお願いしました」と妻のHさん。
　S邸は主寝室を1階に設けてある。老後は1階だけで生活が完結できるようにしようと当初から考えていたという。「寝室はベッドが入ればいい」と割り切ったと話すSさん。その分LDKを広く開放的にすることを優先させた。
　ユニークなのは寝室へのアクセスだ。通常の廊下を通るルートのほかに、リビング―ウォークインクローゼット― 寝室という二つのルートがあるのだ。「回遊性のある間取りは使いやすいですし、もっとも長い時間を過ごすLDKから寝室までスムーズに行ける点が気に入っています」とSさんも満足げだ。
　キッチンではこの日の夕食のメニューを相談するSさん夫妻の姿が。一人が料理をしているのをもう一人がカウンター越しに眺めながら語らったり、料理を作りながらお酒を飲み交わしたりしてこの家で過ごす時間はかけがえのないものだと二人は口をそろえた。