価値観を共有した 合作リノベーション

施主のNさんは、秋田市でレストランを経営。2020年はじめからの新型コロナウイルスの影響が秋田にも及び、思わぬ形で自分の時間を持てた。築20年を過ぎた住まい、そろそろリフォームを考えていたこともあり、「この機会に」と思い立って、以前から事務所の建物を見かけていたクロリデザインのホームページを検索。リノベーション施工事例を見て、マテリアルの選び方やバランス、照明設計、家具などのインテリア、総合的な価値観の近さを感じて訪ねたそうだ。
　クロリデザインは、二人の建築士兼デザイナーが運営する建築会社。二人共通の価値観と違う感性によっ
て、施主の思いに寄り添ったデザイン・設計を強みにしている。N邸においては、ベースデザインや照明、
設備設計などを池田さんが担当し、マテリアルの選定や色決めなどを仁部さんが担当、N邸のシンボリック
なタイルフロアデザインは二人の合作だそうだ。また、Nさん自身もインテリアに造詣が深いこともあっ
て、照明やカーテン、家具や雑貨など、三人で悩みながら仕上げていったそうだ。
　リノベーションにあたっては、「テーマはリサイクルでした」とNさん。例えば、新たに造作したキッチンの天板に埋め込んだ大理石、流し台のシンク、ワインクーラーなどは店舗やリノベーション前の自邸で使用していたものを再利用。さらに、柱や天井、壁のあしらいを活かしながらモダンなアレンジも加えられている。
　そしてもう一つのテーマが「プライベートとパブリック」。1階はパブリックスペースとして料理教室も
できる広々としたアイランドキッチン、窓に囲まれた明るいダイニング、吹き抜けが開放的でピアノも楽しめるリビングをL字に配置。2階にはプライベートリビングを設け、窓から太平山や季節の木々が一望でき
るという。
　マテリアルやインテリア、陽光の入り方や窓からの景色、時間の演出……。「フィーリングが合ったから
できた（ Nさん）」の言葉どおり、Nさんを知っている人からすればNさんらしい住まいと思え、クロリデ
ザインを知っている人からすればクロリデザインらしい住まいと思えるほど、価値観を共有した三人の合作
リノベーションだ。