アウトドアリビングが生み出す 内と外のつながりと広がり

　タイル張りの中庭と、1･5階分の吹き抜けのハイサイドライトが室内に心地よい明るさをもたらすこの住宅は、児玉建設の設計士・児玉さんの自邸である。最も印象的なのは、リビングと中庭のあいだに設けられたアウトドアリビングだ。「アパート暮らしが長かったので、自分の家を持ったら家族と過ごす時間を充実したものにしたいという思いからアウトドアリビングの着想を得ました」と児玉さん。天候にかかわらずバーベキューが楽しめて、自宅にいながらも非日常感を味わえる空間がほしいという思いから、床には中庭と同じタイルを張り、煙が抜けるトップライトを設けたアウトドアリビングを設計したという。
　庭でのアクティビティに積極的な人ほど、そして市街地であるほどコートハウスは、市街地に建つ住宅として最適解の一つになりえる。コートハウスは上部に開きながら、周囲に対してはプライベートな空間が保たれるからだ。室内でありながら室外のように使えるこの空間のおかげで、児玉さんの休日はますます充実してきたという。「友人を招待したり、家族で楽しんだり。天気を気にしなくていいし、外からの視線も気にならないですね」と児玉さん。
　「今回の設計では生活感を感じさせずに、家族が暮らしやすい空間をという点も重視した」と児玉さん。収納や建具は造作により、壁や意匠の一部に感じられるようなデザインを採用。あくまで生活感を感じさせないことに配慮されている。
　児玉さんと子どもたちは剣道をたしなんでいる。1･5階分の吹き抜けはダイナミックな空間の広がりを生む効果だけでなく「自宅で剣道の練習ができるように」という実用性を兼ねていた。「子どもたちは天気の良い日はベランダで、雨の日はリビングに打ち込み台を持ち込んで練習しています」と妻の可代さん。
　大胆さと繊細さ。非日常感と生活しやすさ。こうした一見相反する要素が両立する住まいが実現している。