趣味と使い勝手を両立した F335ガレージハウス
正目の美しい秋田杉の外観とコンクリートの外構、3台分のビルトインガレージ。高層建築物の少ない地域に建つO邸は、緑豊かな環境とどこまでも広がる青空の下、調和と主張が共存した、一見して、家づくりに対する強いこだわりと、車好きであることを伺い知ることができる住まいだ。
「家に強いこだわりがあったわけではなかったんです」と施主のOさん。設計を担当した花田設計事務所の花田順さんも「カッコいい家をつくりたいということではなく、使い勝手、暮らし方を考えた結果の住まい。」と口を揃える。左右に分けられたガレージもそれぞれ役割がはっきりしていて、フェラーリF335を収納する左のガレージは室内から愛車を眺められるフィギュアケース、右のガレージは天候に左右されない暮らしのための動線を優先したガレージだという。片流れの屋根は、1階にほしい機能を集約して、2階の部屋数を最小限にしたことで、結果として雪を落としやすい片流れになったそうだ。
片流れの立面のメリットを最大限に享受しているのはリビングだろう。屋根の形状をそのまま室内に持ち込んだことで得られた天井高は最高5.3m、キッチンからは視線に合わせて空間が広がり、その先には窓という解放感。「子どもたちにやらせたい」として設えたクライミングウォールも圧巻の規模だ。そして、座ったときの目線に合わせられた窓からはフェラーリ。Oさんが好きなあおり気味のエンジンルームが見える後姿を眺められる。
家づくりを主導したのは妻のSさんだったという。家事と仕事の両立もあって、買った物を持ち込む動線や料理・洗濯といった普段の家事動線、入浴から就寝までの動線、それらを効率よく配置する間取り、家事を効率化する住設選びなど、すべてSさんの希望だったという。
Oさんの希望は「愛車を屋根がある場所に保管したい」というただ一つだったそうだ。「夫が遠慮していることもわかっていたし、何より、この車を買うために、飲みに行ったつもり、買い物をしたつもりで貯金して、まさに青春のすべてをかけて買ったことを知っていたので、私から『フェラーリのフィギュアケースを作ってください』ってお願いしたんです」とSさん。結果、昼は自然の光に、夜にはダウンライトの光に輝く愛車を眺めて暮らすガレージハウスになった。
DATA
床材 | 3層フローリング(望造ニューヨーカー プラス ホワイトオーク)、Pタイル |
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内壁材 | ビニールクロス |
屋根材 | ガルバリウム鋼板 |
外壁材 | 木材(杉)、ガルバリウム鋼板 |
●設計/有限会社花田設計事務所 ●施工/株式会社西村建設 ●竣工/2018/12 ●構造・工法/木造軸組工法(在来工法) ●規模/2階建 ●敷地面積/625.00㎡(189.06坪) ●床面積(総)/246.81㎡(74.66 坪) 1階 206.81㎡(62.56 坪) 2階 40.00㎡(12.10坪)
●暖房の種類/床暖房 ●給湯の種類/エコジョーズ(LPG) ●バス/LIXIL スパージュ ●トイレ/LIXIL サティスS ●キッチン/LIXIL リシェルSI ●調理器具/ガス ●窓仕様(主なもの)/樹脂サッシLow-Eペアガラス ●断熱材/グラスウール、EPS(ビースポリスチレン) ●換気システム/第3種換気
建築総工費 / 4,800万円台
坪単価 / 60~65万円