WORKS JUU掲載の施工事例

CASE213 北久ホーム / Y邸

時とともに味わいを増す 経年変化を愉しむ住まい

 レッドシダーとシナベニヤを中心に、木のぬくもりあふれる住まいに、大きな連続窓を配したY邸。北久ホームの代表を務めるYさんの自邸だ。コンセプトは「周囲や自然とのつながりを重視した家」と語るYさん。南面の連続窓の大開口は妻のMさんが関心を寄せる建築家・ル・コルビュジエが手掛けた「サヴォア邸」に着想を得たという。空間に開放感をもたらすのはもちろん、冬は日射熱を取り入れて室内を暖めるのに一役買っている。窓の内側には、玄関から続く長い土間が、外部と内部を柔らかくつなぐ。
 「外壁、内装に木材をふんだんに使いました。外壁のレッドシダーが経年変化することでシルバーのような色合いに変化する様子を、お客様にも知っていただきたい。木の外壁の経年変化をネガティブに捉えるのではなく、その美しさを知っていただきたいと思っています。この家は私たちが実際に住みながら、モデルハウスとしてお客様にいつでも見ていただける場所にしたいと考えています」とYさんは語る。
 土間の上は大きな吹き抜けで空間にダイナミックさを出しつつも、LDKは天井高を通常レベルに抑えることで、落ち着きとくつろぎを感じられる住空間に仕上げた。オープンキッチンやリビング階段など、近年流行のレイアウトも、その必然性をきちんと感じられるように配してあるところに、プランニングの妙がある。「家のどこにいてもお互いの気配を感じていたい、というお客様のご要望が近年増えていますし、実際に自分も住まいを持つ際にはそのような住まいがいいと素直に思ったのです」とYさんは言う。
 和室でひときわ存在感を放つ美しい襖絵は、滋賀県の「野田版画工房」によるもの。直接作家さんに会って依頼し、Yさん夫妻のイメージを描き下ろしてもらったものだ。「自分たちが好きなものに囲まれた空間で暮らしたいというのが家づくりのコンセプトでした。一つひとつ、好きなものを選んで積み上げていくような家づくりは楽しかったですね」とYさんは家づくりを振り返る。
 オープンな1階に対して、2階はあえて天井高をぐっと低くして屋根裏のような落ち着ける空間に仕上げた。「長く住んでいて心地の良い家にするため、デザインと機能を両立させることに心を砕きました。これから木肌の色が変化していって、住まいも家具も味わいを増していくはず。時が経つのが楽しみな住まいになったと思います」とYさんは満足げに語った。

DATA
床材複合(合板)フローリング
内壁材木材(シナベニヤ)
屋根材ガルバリウム鋼板
外壁材木材(レッドシダー、
ベベルサイディング)
UA値0.55W/㎡K
C値0.5c㎡/㎡

●設計・施工/有限会社北久ホーム ●竣工/2019/4 ●構造・工法/木造軸組パネル工法 ●規模/2階建 ●敷地面積/329.59㎡(99.70坪) ●床面積(総)/190.24㎡(57.54坪) 1階 74.55㎡(22.55坪) 2階 54.44㎡(16.47坪) インナーガレージ 32.29㎡(9.76坪) サロン 28.96㎡(8.76坪)

●暖房の種類/エネファーム(ガス) ●給湯の種類/エネファーム(ガス) ●バス/LIXIL スパージュ ●トイレ/LIXIL サティス ●キッチン/LIXIL リシエル ●調理器具/ガス ●窓仕様(主なもの)/樹脂サッシLow-Eトリプルガラス ●断熱材/吹付ウレタン ●換気システム/第3種換気 ●太陽光発電設備/4kW

建築総工費 / 4,000万円台
坪単価 / 65~70万円