実家の居心地の良さがお手本。リピートしたくなる「Q1住宅」
Oさんが家づくりを考え始めたとき、まっさきに頭に浮かんだのが自身の実家のことだった。「実家は15年ほど前に、NPO法人新木造住宅技術研究協議会(以下、新住協)の代表理事である鎌田紀彦さんに設計していただいたものです。それがとても快適で。自分の家を建てるにあたり、今度もぜひ鎌田先生にと連絡したところ、秋田でQ1住宅を手がけられているアトリエ105の鳥潟さんを紹介していただいて(Oさん)」。
新住協は高断熱を基本性能とした住宅技術を研究開発している民間の技術開発団体で、熱損失を示すQ値が1.0W(毎平米ケルビン)前後の住宅のことを「Q 1住宅」と銘打って普及を進めてきた。具体的には、断熱性能を高め、太陽エネルギーを効率的に活用し、暖房エネルギーを減少させることでCO2削減に貢献しようというものだ。O邸も冬場は太陽光発電や太陽熱温水器で室内を暖め、夏場はヒートチムニーで熱を逃がすなど、自然エネルギーを効率よく利用する仕組みが詰まっている。「条件が良い場合には、自然エネルギーを利用したシステムだけで家の中の電力・給湯をすべて賄えるので、経済的にも助かります。年間を通していつも快適。とくに冬場の暖かさは格別です」とOさん。
「建築家との家づくり」というと少しハードルが高いようにも感じられるが、「そんなことは全然ないですよ」とOさん。「むしろどんなに小さなことでも納得いくまで相談することができて、満足度はとても高いと思います。細かい所まで話し合いを重ねるのは大変ですが、その結果、自分たちの希望を限界まで叶えることができたのは、建築家との家づくりならではだと思います」と語る。
室内の床は水周り以外はすべて無垢材を使用し、心地よい足触りと統一感も生まれている。広々としたLDKでは、娘のAちゃんがのびのび遊んでいる。キッチンからでも子どもに目が届きやすいつくりにしたのも、育児をするうえで功を奏していると妻のNさんもうれしそうに話す。
DATA
床材 | 無垢パインフロア |
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壁材 | ケンコート、クロス(水回り) |
窓仕様 | 木製サッシLow-Eトリプルガラス |
屋根材 | ガルバリウム鋼板 |
外壁材 | スギ板張り ウッドロングエコ塗装 |
Q値 | 0.78W/㎡K |
設計 / アトリエ105 | 施工 / 志村建設株式会社 | 竣工 / 2014/5
構造・工法・規模 / 木造・軸組工法・2階建 | 敷地面積 / 371.90㎡(約113坪 | 床面積 / 237.17㎡(約72坪) / 1階 145.66㎡(約44坪) / 2階 91.51㎡(約28坪) / アプローチ 23.19㎡(約7坪)
暖房設備 / 太陽熱利用ガス温水暖房 | 給湯設備 / 太陽熱利用ガス給湯 | バス / TOTO サザナ | トイレ / TOTO ネオレスト | キッチン / Panasonic リビングステーション Lクラス | 調理設備 / ガス | キ太陽光発電設備 / 4.00kW
建築総工費 / 5,000万円台
坪単価 / 70~75万円
太陽光発電設備費用 / 162万円