WORKS JUU掲載の施工事例

CASE07 木曽義元建築工房 / K邸

日の出、月の出、小鳥の声、自然を満喫できる家

 以前は8部屋もある家に住んでいたKさん夫婦。秋田県下ではめずらしくない大規模な昔ながらの日本家屋だったわけだが、「年を追うごとに掃除も雪かきも大変になって」というKさんは83歳、妻のSさんは75歳。離れて暮らす息子さんが「今の住まいのままでは、両親が心配でならない」と実家の建て替えを提案。こうして息子夫婦主導での家づくりがスタートした。
 主な居住スペースは1階に集約。段差も極力減らしてバリアフリーにしたうえ、大きさももぐっと縮小した。家族の変化に合わせて増築をすることはよくある話だが、今回のケースはその先にある改築、いわゆる「減築」である。「私たちは家は広いものだ、という先入観があったから、木曽さんの提案が斬新で」というKさんの言葉のとおり、広大な敷地がありながら、暮らしやすいコンパクトなスケールに自動洗浄機能付きのトイレや風呂、全館床暖房、外の融雪機能など、最先端の機能が高齢の夫婦二人の住みやすさを助ける。広大な庭では趣味のハーブ園や野菜づくりにいそしんでいるのだという。
 家が小さくなったことで不自由になるどころか、暮らしやすくなったとSさんは微笑みながら語る。「前の家はね、2階から1階の電話にたどり着くまでに6回も戸を開けたの。今は振り返ればすぐでしょ?」とSさん。遊びに来た同年代の友人たちにも、若い友人にも、幅広い世代から評判は上々だとか。
 現在の2階部分はロフトスペースで、普段は収納に、冬場の洗濯物を干すサンルームに、そして遠くから息子夫婦と孫たちが遊びに来た折には布団を敷いて寝泊まりに、とフレキシブルに活用している。 つまり、あくまで普段この家で暮らす夫婦が主役の家でありながら、遠くにいても大切な家族のためにもいつでも開かれた家であるような空間が実現されているのである。「家が変わると暮らしが変わる。すると意識も変わる。前の家は一生に何回かの冠婚葬祭のための家だったけど、今は二人のためだけの家だもの。毎日ラブラブよ」とSさん。「木曽さんや息子夫婦たちが一生懸命考えてくれて、職人さんたちの技が生きた家で、私たちを思ってくれる人たちの優しさを感じる家に住めるのは幸せです」とKさんもにっこり。こじんまり暮らす快適さは、まさに息子さんから最愛のご両親へのすばらしいプレゼントとなったわけだ。

DATA
床材オーク3層無垢フローリング、ビニールシート
壁材クロス
窓仕様アルミ樹脂複合サッシLow-Eペアガラス
屋根材ガルバリウム鋼板
外壁材ガルバリウム鋼板、サイディング、AEP塗装

設計 / 木曽善元建築工房 | 施工 / 木曽工務店 | 竣工 / 2015/5
構造・工法・規模 / 木造・在来工法・2階建 | 敷地面積 / 1161.14㎡(約351坪) | 床面積 / 103.71㎡(約31坪) / 1階 78.96㎡(約24坪) / 2階 24.75㎡(約7坪)

暖房設備 / 薪ストーブ、ヒートポンプ式温水床暖房 | 給湯設備 / 電気温水器 | バス / クリナップ ユアシス | トイレ / TOTO ピュアレスト | キッチン / クリナップ ラクエラ | 調理設備 / IH

建築総工費 / 2,000万円台
坪単価 / 60~65万円