年月を経て受け継がれる シンプルモダンな平屋の住まい

　瓦葺の屋根が印象的な平屋のE邸。60代の夫婦二人住まいのための建て替えとして、Eさん夫妻が選んだのが、この平屋での暮らしだった。「一時はおじいさん、おばあさんも含めて9人家族で暮らしていましたが、今は夫婦二人。長男夫婦と二世帯住宅を建てるか、まずは夫婦二人で暮らす平屋を建てるか、今後のことを家族で話し合った結果です」とEさん。造園業に携わっていたこともあり、これまでも数々の住宅を見てきた経験をもつ。そんなEさんだからこそ、家づくりにはかなり積極的に関わった。
　家のかたちはこの家にいずれEさんの子どもたちが住むことになった際、増改築がしやすいようにとシンプルな長方形にしようと早い段階で決めた。階段も廊下も不要だが、いずれ車椅子になっても不便がないようにと、ゆとりのある動線や間取りを考えたという。最もこだわったのは、仏間のデザインだった。「仏壇は私の父が購入したもの。父も存命だし、ご先祖様が寂しくないように、とはいえ普段の暮らしの洋室にも馴染むようにといろいろ考えた結果、格子戸をつけることにしました。こうすると、お線香をあげたり月命日には格子戸を開けて使えるし、それ以外のときは目立つことはないでしょう」とEさん。妻のKさんは「主だった部屋は回遊ができるようになっているので、お掃除も楽。階段の上り下りもなくなって、とても暮らしやすいですよ」と住み心地に満足している様子だ。