WORKS JUU掲載の施工事例

CASE113 納谷建築設計事務所 / G邸

先祖からの家を住み継ぐ リノベーションという選択

 築150年、床面積80坪以上というG邸。元々は台所のほかに和室が6部屋という典型的な農家の家だった。「2005年頃、両親との同居を機に建て替えを考えたんです」とGさん。「展示場を見て回ったが、今一つピンとこなかった」ときに、知り合いから納谷建築設計事務所を紹介された。
 「とにかく寒い家でしたし、建て替えを依頼したんです」とGさん。数週間後、リノベーションを提案されたことに、まずは驚いたという。「当時、Gさんご家族は2世帯7人家族。それほどコンパクトにすることもできず、費用もそれなりにかかる。そして何より、約150年も住み継いできた家を残しながら、寒くなく、生活スタイルに合った快適な家にできないかと考えた結果がリノベーションだった」と納谷学さん。建て替えを考えていたGさんも、その気持ちに共感し、徐々に「残せるものなら残したい」と変わっていったという。
 こうして始まったG邸のリノベーション。「ポイントは、2世帯の緩やかなつながりと、寒さ対策(納谷学さん)」だったそうだ。仏間という共有スペースを2世帯の間に置くことでお互いにとって心地良い距離感をつくり、リビング・ダイニング・キッチンや寝室・個室、トイレは別々にしながら、風呂は共有にした。「仏間を通して、ちょうどよく生活音が聞こえ、さらに、風呂が共有なので、毎日、自然と声をかけ合う。その距離感がちょうどよかった」とGさん。そして、寒さ対策としては土間空間を空気層にすることで暖かさを確保した。閉めると光が入ってこなかった外側の木製引き戸が窓に変わり、冬には土間と居住空間の間に設けられた障子を閉めると、光を入れながら冷気を遮って室内を暖かく保ってくれる。
 暮らし始めてから10年以上が過ぎ、Gさんは当時を振り返って、「快適な生活を確保しながら、先祖から受け継いできた家を残せて良かった」と嬉しそうだ。

DATA
床材無垢3層フローリング(アッシュ)、
磁器タイル
内壁材塗り壁(EP塗装)、タイル
屋根材ガルバリウム鋼板
外壁材木材(杉下見板貼り)

設計 / 納谷建築設計事務所 | 施工 / 有限会社佐久組 | 竣工 / 2006/12
構造・工法・規模 / 木造(伝統工法)・2階建 | 敷地面積 / 不明 |床面積 / 271㎡(81.98坪) / 1階 216㎡(65.34坪)2階 55㎡(16.64坪)

暖房設備 / ファンコンベクター(灯油)| 給湯設備 / 石油給湯器 | バス / 在来浴室 | トイレ / 1階 TOTO ネオレスト/TOTOタンク付き便座 | キッチン / 造作 | 調理器具 / IH | 窓仕様 / アルミ樹脂複合サッシペアガラス | 断熱材 / グラスウール | 換気システム / 第3種換気

建築総工費 / 2,500万円台
坪単価 / 30~35万円