性能とデザインへのこだわり 時を経ても古びない家
S邸の完成は1998年。実に築20年目だ。
当時としては珍しいガルバリウムの外壁やローイーペアガラスの窓、間取りも4層のスキップフロア。住まい手の丁寧な暮らし方もあって、とても20年前の建築には見えない。
建築が好きだったというSさん。「こんな家」という具体的なイメージがあったわけではなかったそうだが、アトリエ105の鳥潟さんの自邸を見学して、「この家を建てた人なら」と即決だったそうだ。
Sさんの希望は明るいこと、風通しが良いこと、年間を通して温度差が少ないこと、そして、趣味のオーディオルームだったという。「それ以外は『鳥潟さんが今やりたいことを全部出してください』とお願いしたんです」とSさん。
鳥潟さんは、「まずはオーディオルームの配置から取り掛かり、防音のこともあって半地下に。お母様の個室は水回りに近い1階に配置して、オーディオルームの上にリビングを。そうすることで、周囲の住宅と目線がずれるので、大きな窓を設置。窓が大きいと熱損失も大きくなるので、当時まだ普及初期にあった樹脂サッシのローイーペアガラスを採用しました」と振り返る。他にも、全面をガルバリウムにした外観、原色を取り入れた色使い、青森ヒバの天井やバスコートを設けた浴室など、鳥潟さんが提案した「今やりたいこと」、そのほとんどをSさんは採用したそうだ。
入居して20年目。入居当時の印象を、「古い住宅から移り住んで、温度や湿度なのか、空気感や開放感なのか、毎日が『楽になった』という思いを今でも覚えています。入居当時70歳だった母もまだまだ元気なのは、この家のおかげもあるのかな」と振り返った。
DATA
床材 | 複合(合板)フローリング |
---|---|
内壁材 | 塗装(ペンキ) |
屋根材 | ガルバリウム鋼板 |
外壁材 | ガルバリウム鋼板 |
設計 / アトリエ105 | 施工 / 有限会社佐藤工務店 | 竣工 / 1998/5
構造・工法・規模 / 木造軸組工法・2階建 | 敷地面積 / 330.72㎡(100.00坪)| 床面積 / 183.39㎡(55.46坪) / 1階 82.78㎡(25.04坪) 2階 70.80㎡(21.42坪)ガレージ 29.81㎡(9.00坪)
暖房設備 / パネルヒーター(灯油) | 給湯設備 / 灯油給湯ボイラー | バス / Panasonic ハーフバス( 壁天井は造作)| トイレ / TOTO | キッチン / ヤマハエピュートL | 調理器具 / ガス | 窓仕様 / 樹脂サッシLow-Eペアガラス | 断熱材 / グラスウール、XPS(押出ポリスチレン)| 換気システム / 第3種換気
建築総工費 / 3,100万円台
坪単価 / 55~60万円