巨石と大木を望む立地で木造らしさを満喫する家

　巨石がせり出し、ケヤキの大木の木漏れ日が降り注ぐ、広い庭のあるI邸。「庭には本当にいろんな動物がくるんですよ。蝶、鳥、キツネやリスなんかも」と話すのは妻のMさん。Mさんが建築家の今井浩一さんが描く住宅のラフスケッチに一目惚れして、「いつか家を建てるときには今井さんに」と心に決めたのは、2年ほど前のことだったという。
　「もともと木の家を建てたいねと夫婦で話していましたが、今井さんの住宅に対する考え方に共感したのが決め手になりました」とIさん。　
　「家は道具」と語る今井さんは、100坪超の敷地に、居住スペース30坪弱のコンパクトな家を提案。とはいえ、各部屋の広さにゆとりがあること、吹き抜けの高さなどにより、狭さはまったく感じられず、I邸にはむしろ必要十分な空間特有の心地よさが感じられる。Iさんは「身の丈や希望のライフスタイルにぴったり合う家を提案していただけたな、と満足しています」と話す。
　I邸は庭に面したキッチンと薪ストーブのあるリビングを中心に、ほぼすべての部屋が庭に面している。「以前は市街地のマンション住まいだったので、こうして寝ても覚めても緑を眺めながら暮らせるなんて夢のようです」とMさんの微笑む姿も、この家にぴったりとなじんでいるのが印象的だった。