プロセスを体験しながら作り上げた 「人が混じり合う」がテーマの住まい
「人が混じり合う空間」がテーマとなった住まい。42帖の大空間のLDKは料理をする人、食べる人、そして語らう人が自然に集まれる場所になっている。ハイスツールを置くこともあるカウンターは、ときに立ち飲み場としても活躍する。Hさん夫妻二人のための住まいでもあるが、単なる住居の枠を越え、県内外から多くのゲストが集まり、飲み交わし、宿泊してまた旅立っていく。交流の場として外部に開かれているような感覚が、夫婦のライフスタイルにもぴったりだという。
新婚のHさん夫妻は「家を買うなんてまだ早い」と思っていたという。だがこの中古物件との運命的な出会いが、その意識を変えた。「内見したとき、家のなかに前オーナーさんの親族の集合写真が飾られていたんです。その様子がなんとも言えず温かくて『私たちもこの家でそんな暮らしをしてみたい』と引かれました」と妻のAさんは振り返る。前オーナーも「この家を愛してくれる人に譲りたい」という思いが一致し、この築17年の中古物件はHさん夫妻に渡ることになった。
状態のいい物件だったことに加え、予算管理の面でも、家づくりはDIT( Do It Together の略で、知人友人らと協力しあってともにつくること)を大いに取り入れて行われた。「なによりも『家をつくる』というプロセスを自分たちの手で体験することにこだわりたかったんです。普通は素人が家づくりに参加するなんて考えられないことなんでしょうけれど。」とHさん夫妻。解体作業からスタートし、梁を塗装したり、珪藻土を塗ったりして、住まいをつくる工程一つひとつに参加した。地元の仲間や親族も加わり、作業そのものがまるで地域の交流の場のようだったとHさんは微笑みながら思い出を語る。「あくび建築事務所の筒井さんはじめ、棟梁の櫻田さんなどさまざまなプロが私たちのわがままを叶えてくださって、家づくりのプロセスに参加できたのがうれしかったです」とAさんもしみじみと振り返った。
「家づくりが人と人をつないでくれました」と語るHさん夫妻。来年には薪ストーブを導入する予定だという。自分たちの手を動かしたり、身近な人の力を借りたり、住まいは自分たちの手で変化させられるという手応えを、Hさん夫妻は実感している。彼らの暮らしは住まいとともにますます深くまちに根ざしていくだろう。
DATA
| 床材 | 無垢(アカシア)、 磁器タイル、リノリウム |
|---|---|
| 内壁材 | 塗り壁(珪藻土藁入り)、 タイル、フレキシブルボード |
| 屋根材 | ガルバリウム鋼板 |
| 外壁材 | 窯業系サイディング |
設計 /あくび建築事務所 | 施工 / 有限会社櫻田建設 | 竣工 / 2024/10 | 構造・工法・規模 / 木造軸組工法・2階建 | 敷地面積 / 373.32㎡(112.92坪)|床面積 / 235.52㎡(71.24坪) 1階 188.89㎡(57.14 坪)、2階 28.84㎡( 8.72坪)インナーガレージ 17.79㎡(5.38坪)
暖房設備 / エアコン(電気)| 給湯設備 / 灯油(既存)| バス / 既存利用 | トイレ / TOTO GG1 | キッチン / 造作キッチン | 調理設備 / ガス | 窓仕様 / 樹脂サッシ | 断熱材 / グラスウール、フェノールフォーム、ウレタンフォーム(一部) | 換気システム / 第3種換気
建築総工費 / 1,000万円台
坪単価 / 25~30万円
※一部改修のため



















