WORKS JUU掲載の施工事例

CASE272 アベ建 / S邸

木にこだわった職人との家づくり

 果樹や稲作の農家が多い横手市平鹿町醍醐。先祖代々の田畑を受け継ぎ、多世帯同居が多く、冠婚葬祭や季節の集まりごともあって、住宅の大きさも60坪を超えることが珍しくない地域だ。Sさんも果樹農家を営み、大きな実家を受け継いだ。
 建て替えを考えたのは10数年前、当時の住宅が築70年を超え、自身の年齢を考えて「まだローンを組めるうちに(Sさん)」と、将来、家を継ぐことになる長男とも相談して二世帯住宅を計画。依頼するビルダーを探しはじめたという。
 アベ建との出会いは内覧会。広告を見かけて見学に訪れたという。「木へのこだわり、大工の職人技を感じられる素晴らしい家だった」とSさん。ただし、素材と技術には、当然に費用もかかる話で、当初考えていた予算よりも坪単価で20万円以上、住宅のサイズを考えると、一千万円を超えるほどのオーバーだったという。そのため、他のハウスメーカーも検討したそうだが、上質な木が醸し出す質感、職人技が光る塗り壁や造作の建具が諦めきれず、「この先代々住み継がれていく家だ」と決心してアベ建に決めたそうだ。
 Sさんの言葉どおり、今ではあまり目にすることがなくなった木材と職人技が随所に現れている。床や壁、天井などには木が張られ、特に部屋ごとに工法を変えて天井に張られているのは天然の秋田杉。二間続きの和室の引き戸やふすま、障子や欄間の丁寧な細工、面で塗り方を変えている壁の漆喰。完成から10年を超えて美しさを増しているのは、素材と技のなせることを感じさせられる。
 「今になって、当時あきらめなくて良かったとつくづく思う」とSさん。先祖から田畑や住宅を受け継いできたからこそ、次の世代に受け継がれる住まいを建てられたことに満足している様子だ。

DATA
床材無垢(カバザクラ)
内壁材塗り壁(漆喰)
屋根材ガルバリウム鋼板
外壁材ガルバリウム鋼板

設計・施工 / 有限会社アベ建 | 竣工 / 2011/08 | 構造・工法・規模 / 木造軸組工法・2階建 | 敷地面積 / 1137.39㎡(344.06坪) | 床面積 / 237.77㎡(71.78坪) / 1階 153.83㎡(46.44坪)2階 83.94㎡(25.34坪)

暖房設備 / FF式ストーブ(灯油) | 給湯設備 / エコキュート( 電気) | バス / LIXIL ラ・バス | トイレ / Panasonic アラウーノ | キッチン / LIXIL サンヴァリエ アミィ | 調理設備 / IH | 窓仕様 / アルミ樹脂複合サッシLow-Eペアガラス | 断熱材 / 吹付ウレタン(アクアフォーム) | 換気システム / 第3種換気

建築総工費 / 4,300万円台
坪単価 / 55~60万円