WORKS JUU掲載の施工事例

CASE232 山脇組 / I邸

中庭を囲んで公私を分けた スタジオつきのコートハウス

 アイランドキッチンを中心としたLDKをはじめ、濃淡の幅が広くまっすぐに走る木目が印象的なアカシアで床を統一したI邸。コの字型にレイアウトされた北側の建物は住居に、南側はカメラマンである妻のNさんの写真スタジオになっている。住居とスタジオをつなぐ前室はNさんの仕事場となっており、住居とスタジオのどちらにもアクセスがしやすい。
 子どもたちの成長とともに家づくりの必要性を感じるようになったというIさん夫妻。もともとNさんのスタジオがあったこの土地に自宅とスタジオの機能を両立させることが家づくりのポイントとなった。
 1階をスタジオに、2階を住居にするのがコスト上はメリットが高かったのですが、プライベートな玄関を妻の仕事の来客と共有するのにちょっと抵抗があって」とIさん。担当の長里さんと何度もプランの修正をやりとりしていくなかで、住居とスタジオに独立性を保ちやすく日当たりも良好なコの字型のレイアウトに落ち着いた。「従来の住宅のレイアウトの常識にとらわれずに何パターンも提案してくださって助かりました」とNさんも家づくりを振り返る。
 スタジオと前室はIさん夫妻が友人の助けも借りながらセルフペインティング。友人が代表を務めるあくび建築事務所に相談して本棚を取りつけるなど、住み始めてからも家づくりを楽しんでいる。「住みながら心地よさを積み上げていける。それが家づくりの楽しさでもあるんだなと実感しています」とNさん。
 仕事場のある住まいはこのコロナ禍でいっそう注目されるようになったといっていい。一定の区画の土地のなかで、仕事に集中できる空間づくりと家族の団らんや居心地の良さをいかに両立するかは、今後の住まいづくりでも重要なトピックになってくるだろう。

DATA
床材無垢(アカシア)
内壁材ビニールクロス、タイル
屋根材ガルバリウム鋼板
外壁材ガルバリウム鋼板

●設計/株式会社山脇組一級建築士事務所 ●施工/株式会社山脇組 ●竣工/2019/9 ●構造・工法/木造軸組工法(在来工法) ●規模/2階建 ●敷地面積/263.39㎡(76.78坪) ●床面積(総)/146.58㎡(44.41坪) 1階 96.89㎡(29.36坪) 2階 49.69㎡(15.05坪)

●暖房の種類/エアコン(電気)、ファンヒーター(ガス) ●給湯の種類/ガス ●バス/TOTO サザナ HS ●トイレ/Panasonic アラウーノ ●キッチン/TOTO システムキッチン ミッテ ●調理器具/ガス ●窓仕様(主なもの)/樹脂サッシLow-Eペアガラス、アルミ樹脂複合サッシLow-Eペアガラス ●断熱材/吹付ウレタン ●換気システム/第3種換気

建築総工費 / 2,600万円台
坪単価 / 55~60万円