空間のコントラストで 広さを演出した住まい

　玄関ドアはどこかのカフェの扉だったのかと錯覚するような、カフェテーブルとセラミックトップのシックなキッチン。吹き抜けになったリビングダイニングの明るさとのコントラストが鮮やかで、実際の坪数以上に広く感じられるのがM邸の特徴である。「このキッチンは妻の希望です」とMさん。大手コーヒーチェーンの店舗で実際に使用されているリサイクル内装ボードを採用している。
　秋田市内の中心部にあるに建つM邸。家づくりでもっとも難航したのが土地探しだった。「借家もこの近所だったので、子どもたちの学区が変わらないことを第一条件に土地を探しました」とMさん。5年かけてようやく手に入れた土地は、希望エリア内で閑静な住宅地の角地だった。
　車4台分の駐車スペースと庭がほしいというのがMさんの要望だった。「夫婦の車2台分に、子どもたち2人がそれぞれ車を持ったとして全部で4台。約38坪の中にどうやってその4台分と庭を配置するかは設計担当の人と相談を重ねました」とMさん。「ビルトインガレージを確保すると対面キッチンやダイニングとリビングを分けるといった間取りは難しいということがわかりました。その代わりガレージ直結のパントリーや庭の他にもいくつか植栽スペースを設けたりと、自分たちにとって優先順位が高いものから実現していったので、プランニングで迷うということは実はあまりなかったんです」と語る。
　家を建ててからの大きな変化は家族が以前よりも「ありがとう」と言い合うようになったことだと話すのは妻のRさん。「子どもたちも家事を積極的に手伝ってくれるようになったんですよね」と微笑む。Mさんも「家族それぞれがお気に入りの空間や時間を持てるようになったことで、心にゆとりが生まれたのかもしれないですね。子どもたちの成長を感じることができて、家を建てて本当によかったと思っています」と口元をほころばせて語るのだった。