秋田県産木材をふんだんに使った 北国の寒さに負けない高性能住宅

　南面に向いた大きな窓から降り注ぐ光が、柔らかく室内を包み込むK邸。結婚を機に家づくりを始めたKさん夫妻は、二人とも木の家が好きだったことから、地元の西方設計のモデルハウスを訪れた。北国における住宅建築の高性能化の先駆者の一人である建築家の西方里見氏が、35年のノウハウを凝縮したモデルハウスを見学したKさん夫妻は、秋田の気候を熟知した高性能な住宅に感銘を受けたという。妻のMさんは高い断熱性能、地元の木材をふんだんに使った木の家という印象で、モデルハウスはまさに理想どおりでした。もともと地元のビルダーにお願いしたいという気持ちもあったので、迷わず西方設計さんにお願いすることにしたんです」とビルダー選びを振り返る。「コンパクトな水回りと大きなキッチン、開放的なリビングなど、要望を叶えてもらいました。こんなに窓が大きいのに、厳冬期もエアコンを1台つけるだけで家全体が温かいんです」とKさんは満足げ。Mさんは「冬も素足で過ごせるんですよ。杉の床板も足ざわりが心地よいです」と話す。
　自然光だけで十分に明るいリビングは、ダイニングキッチンと仕切りのない大きな空間に仕上がっている。リビングに隣接する和室は「畳でゴロンとしたい」というKさん希望によるもの。基本的には開放したまま使用し、必要に応じて建具で仕切ることができる。LDKに面した大きな窓からは、ウッドデッキへ直接出ることができる。「庇とバルコニーの奥行きのおかげで、夏は直射日光が入らず、冬になると温かい日差しが差し込んできて、部屋がぽかぽかになるんです。自然の摂理を生かした住まいになっていることを実感します」とKさん夫妻。2階の洋室は必要に応じて寝室と8畳の洋室に仕切ることもできるよう設計されるなど、可変性の高いシンプルな間取りになっている。「長い時間を過ごす住まいが、ライフステージの変化に柔軟に対応しているのは、将来にわたる安心感がありますよね」とMさん。間取りや機能など、自分たちの生活スタイルに必要なものだけを厳選したい。そんな2人の思いが伝わってくる家だ。