素材使いを楽しむ サスティナブルな家
施主夫妻と設計を担当した今井浩一さんとの出会いは約10年前、夫妻がまだ結婚していなかった当時、今井さんが設計した新築の友人の家に遊びに行ったときだったという。「当時は結婚前だし、現実的なこととして家づくりを考えていなかったのですが、将来、家を建てるなら、こんな家がいいなという思いを持ちました」とHさん。結婚後は、今井さんの内覧会がある度に見学したという。
一時、長女の誕生などで空いた期間はあったそうだが、その長女の誕生を契機として本格的に家づくりに着手。「長く今井さんの建てる家を見てきたので、シンプルなデザインや素材の使い方、性能など、何も心配していなかった(妻のTさん)」そうだ。
夫妻が家づくりでこだわったのは「素材」。長く飽きのこない、メンテナンス性の高いものにしたかったそうだ。外壁は杉板とドイツの外壁メーカーアルセコの組み合わせに。アルセコは外断熱システムのため断熱性に優れ、塗り仕上げが板張りと相性がいい。そして、内装は大理石系の塗り壁と合板に。特に、ラーチ合板とシナ合板のバランスには気を遣ったそうで、同じ空間にありながら、素材が違うことが空間にアクセントを加えている。さらに素材へのこだわりは建具にまで。室内ドアや空間を仕切る引き戸、収納なども木材で造作した。
「木をふんだんに使った住まいを希望していたHさん夫妻。将来的なメンテナンス時も建材等の商品であれば同じものを入手することは難しいが、木という素材はなくならないので、同じものを手配できる。そうした素材の使い方や仕上がりへの理解度が高いご夫婦でした」と今井さん。Hさんも「経年劣化ではなくて、経年変化を楽しめる住まいができた」と満足げだ。
DATA
床材 | 無垢(秋田杉)、クッションフロア(水回り) |
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内壁材 | 塗り壁(大理石白亜陶土蝋石パウダー)、ビニールクロス |
屋根材 | エスジーエル鋼板 |
外壁材 | 木材(秋田杉)、ロックウール外断熱システム |
●設計/今井ヒロカズ設計事務所 ●竣工/2018/8 ●構造・工法/木造軸組工法 ●規模/2階建 ●敷地面積/244.20㎡(73.72坪) ●床面積/148.93㎡(44.96坪) 1階 63.97㎡(19.31坪) 2階 52.99㎡(16.0坪) インナーガレージ 31.97㎡(9.65坪)
●暖房の種類╱エアコン(電気) ●給湯の種類╱エコフィール(灯油) ●バス╱TOTO サザナ ●トイレ╱TOTO GG ●キッチン╱TOTO ミッテ ●調理器具╱ IH ●窓仕様(主なもの)╱樹脂サッシ Low-Eペアガラス ●断熱材╱グラスウール、ロックウール ●換気システム╱第3種換気
●建築総工費 / 2,200万円台
●坪単価 / 55~60万円