「広くなくていい」という選択 共有部分に手を掛けた20坪の家
「小さくて構わないから住んでいて気持ちのよい家にしたい」という、Sさん夫妻の考えが家の隅々まで行きわたった家だ。20坪のコンパクトなコートハウス。中庭は外部に対しては閉じつつ、大きな窓が室内に光と開放感をもたらす。コテの跡が印象的な中霧島壁が室内に豊かな陰影を見せる。
Sさん夫妻は断熱などの住宅性能を重視してビルダーを探した。「Treeの内覧会を訪れたところ、住宅性能に加えてデザインも自分たちが求めているものに近かった」といい、Treeへの依頼を決めた。設計士と直接やり取りできるところにも魅力を感じたという。「もともとアパートで暮らしていたときから広さはそこまでいらないと感じていました」とSさん。購入した45坪ほどの土地に「20坪の平屋を」とオーダーを出した。
廊下を設けず、北側に水回りと寝室などのプライベート空間を配置。対する南の玄関側にL型のLDKがある。LDKのコージーな雰囲気が格別だ。床面は傷が付きにくく足ざわりのよい国産のクリ材。天井は明るい色調のシナベニアで、節のない杉材を立体的な格子状に配置して空間のアクセントにした。さらに壁はSさんらが中霧島壁のベージュ系を選んでいる。「採光は特に重視しなかった」と言うが、コート部分を介した外光が柔らかく入り、室内は照明と相まってあたたかく落ちつく空気で満たされている。
「資材価格の高騰などの心配があったが、自分たちで決めた予算内に収めたかった」とYさん。かけるところはしっかりかける、それ以外は必要最低限の機能を押さえて全体のコスト管理を行った。LDKに力を入れた分、他のスペースは規格品を選ぶなどして費用のバランスを取ったという。「結果的に予算内に収めることができ、家の仕様もコスト的にも満足しています」とSさんは振り返った。
「LDKの居心地が特に気に入っています。ここで長く暮らしていきたいですね」とSさん。「自然の素材なので、時間が経つと色がだんだん変わっていきます。素材の経年変化も楽しんでもらえると思います」とTree 代表の照井さんも同調していた。
DATA
| 床材 | 無垢(しなの栗)、Pタイル |
|---|---|
| 内壁材 | 塗り壁(中霧島壁)、 ビニールクロス |
| 屋根材 | ガルバリウム鋼板 |
| 外壁材 | そとん壁 |
設計・施工 / Tree 一級建築士事務所 | 竣工 / 2023/10 | 構造・工法・規模 / 木造軸組工法・1階建 | 敷地面積 / 145.73㎡(44.08坪)|床面積 / 70.14㎡(21.22坪)1階 63.97㎡(19.35坪) ポーチ 6.17㎡( 1.87坪)
暖房設備 /ヒートポンプエアコン(電気)| 給湯設備 / エコキュート(電気) | バス / Panasonic オフローラ | トイレ / TOTO ピュアレスト | キッチン / Panasonicラクシーナ | 調理設備 / IH | 窓仕様 / 樹脂サッシLow-Eトリプルガラス| 断熱材 / グラスウール、EPS(ビースポリスチレン)| 換気システム / 第1種換気 | ZEH oriented| UA値╱0.27W/㎡K| 防火構造|耐震等級3
建築総工費 / 2,100万円台
坪単価 / 95~100万円



















