家じゅうがギャラリーになる アートとともに暮らす木の家
「絵本に出てくるような、三角屋根の家がいい」。Sさん夫妻が家を建てるときに、最初に思い描いた理想の家のイメージだ。S邸はまさにその通りのかわいらしい外観になっている。一方で、室内は大胆でユニークな使い方が小気味よい。リビング、ダイニングは、大きな吹き抜けの空間に。それによって生まれた広い壁面にはピクチャーレールを渡し、アーティストであるSさんの作品を中心に飾っている。天井は屋根の勾配を利用しつつ、絶妙なアールを描く。漆喰の自然な白に、天井や床のスギが柔らかな印象を与える。ギャラリーのようでもあるが、よりくつろいだ気分でアート作品と向き合える空間になっているのだ。
S邸は2階部分のほとんどをシナベニヤを張りのロフトとして使用。基本的な生活は1階で完結する、平屋のような間取り。「これまで暮らしてきたアパートで、ワンフロアで生活が完結する便利さを実感しました。将来子どもが自立して、夫婦二人になっても暮らしやすい家を、と村上さんにお願いしました」と妻のMさんは話す。
ロフト部分にはSさんの作品をはじめ、集めたアート作品を収納することや、来客時の宿泊スペースとして使用するも想定されている。リビングから梯子を使ってあがることもできて、隠れ家のようなときめきのある空間になっている。「子どもは家じゅうを裸足で走り回っています。床暖房も入れたので、冬でも快適。木の家の良さを肌で感じていますね」とSさん。アートとともにある暮らしを自然素材で叶えた、伸びやかな住まいだ。
DATA
床材 | 無垢(すぎ)、コルクタイル |
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内壁材 | 塗り壁(漆喰)、紙クロス |
屋根材 | ガルバリウム鋼板 |
外壁材 | 塗り壁(シラス) |
UA値 | 0.51W/㎡K |
長期優良住宅 |
●設計・施工/株式会社村上商店 ●竣工/2018/7 ●構造・工法/木造軸組パネル工法 ●規模/2階建 ●敷地面積/345.63㎡(104.3坪) ●床面積/140.78㎡(42.5坪)1階 100.20㎡(30.2坪) 2階 40.58㎡(12.2坪)
●暖房設備╱蓄熱式暖房(土間コンクリート)(電気) ●給湯設備/エコキュート ●バス/TOTO サザナ ●トイレ/TOTO GG1 ●キッチン/TOYOキッチン BAY 3D シンク ●調理設備/IH ●窓仕様(主なもの)/樹脂サッシLow-Eペアガラス、Low-Eトリプルガラス ●断熱材╱グラスウール、XPS、セルロースファイバー ●換気システム/第3種換気
●建築総工費 / 2,500万円台
●坪単価 / 55~60万円