父の和室を残して、 夫婦ふたりにちょうどいい住まいへ
築50年を迎えた実家をリノベーションしたS邸。かつては最大7人の家族が暮らしていたが、現在は70代の夫Sさんと、60代の妻Yさんのふたり暮らし。冬の厳しさや雪下ろしの負担も考慮し、平屋への改築を決意した。
「父が残した家を壊したくなかったんです。特に思い入れのある和室は残したいと思っていました」と話すSさん。今回の改装では、LDKや寝室、水回りを中心に建て替えつつ、当時のまま残した和室を廊下でつなぎ、コートハウスのような構成に。減築したことで、今のふたりにちょうどよい広さの住まいが完成した。
S邸を象徴するのが、薪ストーブだ。ハンターストーブ社のヘラルド8を導入するのは、相談当初からのSさんの夢だったという。「子どもの頃からだるまストーブを使っていたので、炎の見える暮らしは手放せません」。所有する山に運搬車で入り、自ら薪を切り出し、薪割りまでこなすという熱意の持ち主だ。断熱性・気密性の高い新しい家との相性もよく、冬の朝でも室温が15℃を下回ることはない。「毛布一枚で眠れるんですよ。光熱費も半分になりました」と夫婦で笑う。
もう一つ印象的なのは、まるで時が止まったかのような和室のたたずまい。外壁や屋根はすべて新しくやり直したが、50年前にSさんの父が家を建てた当時の天然スギの格天井や砂壁、床の間の設えなど、現在ではなかなか手に入らない素材と技術が詰め込まれた和室はそのままだ。「父が粋を極めてつくった空間なので、こうして残せて本当によかった」とYさん。和室の隣には仏間と神棚を新設。扉付きの設計で、生活感を抑えながらも心の拠り所となっている。
かつての面影を大切に残しながら、最新の住宅性能が暮らしを静かに支える。身体に無理のない設えと、心に寄り添う空間が、ふたりの日々を穏やかに包み込んでいる。そんな住まいに生まれ変わった。
DATA
| 床材 | 複合(シート)フローリング |
|---|---|
| 内壁材 | ビニールクロス |
| 屋根材 | ガルバリウム鋼板 |
| 外壁材 | ガルバリウム鋼板 |
設計・施工 / 扇建設株式会社 | 竣工 / 2024/12 |構造・工法・規模 / 木造軸組工法・1階建 | 敷地面積 / 2809.91㎡(850坪)|床面積 / 136.63㎡(41.33坪)/ 1階 136.63㎡(41.33坪)
暖房設備 / エアコン(電気)、薪ストーブ(ハンターストーブ社製)| 給湯設備 / エコフィール(灯油)| バス / タカラスタンダード グランスパ | トイレ / INAX アメージュZ | キッチン / タカラスタンダード エーデル | 調理設備 / IH | 窓仕様 / 樹脂サッシLow-Eペアガラス | 断熱材 / グラスウール、XPS(押出ポリスチレン)| 換気システム / 第3種換気
建築総工費 / 2,500万円台
坪単価 /60~65万円




















