思い入れある庭を残した 集いの場になる10坪の〝離れ〞
「住まなくなった、これから住む予定もない親の家をどうするか」という問題は、中高年世代には切実に迫ってくる場合があるのではないだろうか。東京在住のNさんは、10年以上住む人のいなかった実家を前に「地元とのつながりを残しておきたい」という思いを抱いた。「リフォーム(減築)や建て替えを検討した結果、親が残してくれた庭を生かしつつ、多目的な十坪の小屋を建てることにしました」と話す。
山脇組に依頼した理由は、建物の解体から新築建て替えまですべてを一任できたことが大きい。「おかげで解体した建物の材を取っておいて新しい建物に使うなど、家の歴史を引き継ぐことができました」とNさん。愛着を込めて〝小屋〞と呼ぶ、建物のイメージは母屋はないものの「離れ」。5.4メートル四方にリビングと水回りなど住まいの最小限の機能を収めている。さらにNさん夫妻が茶道をたしなむことから、茶室を思わせる和風建築のテイストを加えた。
玄関に入るところからユニークな仕掛けが始まる。腰を屈めて入る茶室の「にじり口」、入った先にはテラス越しに庭の風景が広がる。庭に面したリビングの窓はあえて高さを抑え、隣家からの視線を遮るともに庭の眺めを楽しめるようにした。
コンパクトで快適な拠点ができ、満足度は高いという。Nさんは「古い家の管理に頭を痛めてきた。今は秋田に帰ってくるのが一層楽しみになりました」と笑顔で話す。これからは友人を招いたり、共有スペースとして地域に開放したりする活用策も考えているそうだ。妻のAさんも「庭の眺めが楽しめる家は、東京ではほとんど考えられないこと。お金では買えない豊かさを感じます」と、秋田での生活を楽しんでいる。
秋田に限らず、空き家問題は全国的な課題といわれる。Nさんのケースは、こうした課題の一つの解として参考になるのではないだろうか。
DATA
| 床材 | 複合(合板)フローリング |
|---|---|
| 内壁材 | ビニールクロス |
| 屋根材 | ガルバリウム鋼板 |
| 外壁材 | 金属系サイディング |
設計・施工 / 株式会社山脇組 一級建築士事務所 | 竣工 / 2023/6 | 構造・工法・規模 / 木造軸組工法・1階建 | 敷地面積 / 122.88㎡(37.23坪)|床面積 / 29.81㎡(9.0坪)|1階 29.81㎡( 9.0坪) 、ロフト 6.62㎡(2.0坪)
暖房設備 / ヒートポンプ式エアコン床暖房 | 給湯設備 / エコジョーズ(ガス)| バス / LIXIL BLCW | トイレ / LIXIL GG1 BLCW | キッチン / 無印良品 | 調理設備 / IH | 窓仕様 /アルミ樹脂複合サッシLow-Eペアガラス | 断熱材 / 吹付ウレタン | 換気システム / 第1種換気
建築総工費 / 1,500万円台
坪単価 / 115~120万円





















