旧住居の趣は残して性能をぐんとアップした家

　Hさんが生まれ育った家に戻ることになったのは、それまで旧住居に住んでいた両親が高齢のためマンションに住み替えることになったのがきっかけだったという。「もともとは祖父が建てた家でした。私はここで高校を卒業するまで育ったので、懐かしさはありましたが、何しろ古い家で寒さや使い勝手には問題がありました」とHさん。建て替えかリフォームかで大いに悩んだHさんだったが、アトリエ105の鳥潟さんに「この佇まいは現代の建築ではなかなか出せないし、銅板の屋根などは今同じものを作ろうとすると莫大な金額がかかる。それだけ価値のあるものだから、ぜひ残したほうがいい」とアドバイスを受け、柱と屋根だけ残した大規模なリフォームに取り組むことを決意したという。
　H邸ではリビングやダイニング、キッチンと、廊下部分を隔てる扉がない。そのため、非常に開放的な空間が実現しているのが特徴だ。妻のIさんは「当初はこの扉がない暮らしというのに戸惑いを覚えることもありましたが、家中どこも均一に暖かく、それなのに暖房費も抑えられていて、こんなに快適に暮らせるなんてと驚いています」と住み心地の良さを実感しているそう。鳥潟さんは高断熱を基本性能とした住宅づくりを推奨する「新住協」に所属している。Hさんは「私自身は地元で建築士の方を探したら鳥潟さんに行き着きました。これほどまでに断熱性能の高い家を提供しているとは知りませんでしたが、結果的には大満足です」と家づくりを振り返った。