細部までこだわり抜いた憧れの建築家との家づくり

　長女の小学校入学までには家を持とうと思って始めたHさん夫妻の家づくり。妻のKさんは建築家との家づくりしか考えていなかったという。
　「納谷建築設計事務所というと、全国的に活躍されていて、そこまではと最初は考えていなかったんです」とKさん。建築家が一堂に会するイベントで出会い、話をするうちに、話しやすさと施工例に魅かれ、何より秋田出身の建築家である安心感もあって、その場で納谷建築設計事務所に決めた。
　家づくりはKさんが主導。土地は北側道路に面していること、道路側には閉じ、南側に大開口を取ること、基本的な暮らしは全て一階で完結すること。内装は白と薄めの色の木で明るさを重視した。内装で特に目を引くシナベニヤの壁は設計を担当した納谷新さんの提案で、居住スペースを囲むL字型の廊下・階段スペースに施され、光を柔らかく反射して心地いい。そして、最大のこだわりが室内空間をつなぐ開口部。リビングとダイニング、キッチン、廊下、それらをつなげる開口部で切り取られる景観が好きで、納谷建築設計事務所の施工例を参考にしたそうだ。一般的にはあまり意識することがない室内開口部までのこだわりが、H邸全体の雰囲気をつくりだしている。
　そんなKさん主導の家づくりでHさんが唯一こだわったのがリビングの土間。大開口の窓から繋がる軒下の空間も伴って、さらなる開放感を演出している。