昔ながらの住宅の良さを生かしたバリアフリーの家

　50年近く住んだ自宅を退職を機に建て替えに踏み切ったというKさん。「元の家は増築を繰り返して、多世代大家族で住み継いできましたが、今は夫婦2人と犬1匹。これを機に『住みたい家で暮らしたい』という思いから家づくりをスタートさせました」と家づくりのきっかけを語る。　
　玄関から直接上がれる和室、玄関土間と目の前に広がる中庭には杉材の軒がかかっているなど、伝統的な和風の住宅の要素をふんだんに取り入れつつ、現代の暮らしに合わせたモダンさも兼ね備えているK邸。しつらいに使われている花入や置物などはもともと妻のLさんが好きで少しずつ集めてきてものだという。
　「自分たちは昔ながらの家が落ち着く人間だとわかっているので、そういう意味ではあまり迷うこともありませんでした」と家づくりを振り返る。
　Kさんが重視したことは、できるかぎりバリアフリーであること。ユニークなのが1階寝室から脱衣室、そしてトイレまでの動線である。ドアや通路の幅は広めにとって車椅子でも通れるようになっており、寝室から脱衣所、トイレに直接行き来ができる。さらに、一つのトイレにニつの出入り口がついており、通り抜けもできるというめずらしい間取りに。これは妻のLさんが年上の知人の家の間取りを参考にしたというが、「これのおかげで生活動線がぐっと短くなって、家事が非常に効率的になりました（Lさん）」と想像以上の快適さを実感しているという。