約29坪の居室に詰まった快適を生み出す工夫が光る
「木の香りのする家がいい」と理想のイメージを描いていたというIさん。家を建てるなら妻のYさんの実家にあたる鈴喜代で、と思っていたので、「土地選びは2年かかりましたが、ビルダー選びに要した時間は0分ですね」と笑う。
I邸の大きな特徴の一つがコンパクトな居室面積。敷地自体は約70坪あるが、居室面積は1階と2階合わせても約29坪とぐっと抑えてある。ここで夫婦と子ども2人の4人家族が暮らしている。妻のYさんは「社宅での生活が長かったので、コンパクトに暮らすのには慣れていたかもしれません。だから最初のリクエストでも『広さは特に重視しない』と話したのを覚えています」と振り返る。
鈴喜代の鈴木さんは「天井高をあえて2.2メートルに抑えて落ち着きを出したり、部屋の対角線上に窓を作り、さらに大きなウッドデッキを設けてリビングとのつながりを出すことで広さを感じる作りにするなど、コンパクトでも快適に感じるための設計上の工夫をしています」と語る。4帖のウォークインクローゼット、9坪のガレージ、9坪の小屋裏収納と、たっぷりの収納もコンパクトな居住スペースで快適に住まう知恵でもある。
広さを抑えた分、性能を上げているI邸。ゼロエネルギーハウスの認定を取得し、各フロア一台の床下エアコンで一年中快適な室内環境を作りだしているという。
「予算のなかで『心地良さ』のために本当に必要なものは?ということを常に考えるようにしています。『広々した家がいい』といっても、それは単に『面積が大きい家』なのか、あるいは『広さや開放感を感じたい』のかで設計は大きく変わってきます。いただいた条件を総合的に考えて、『では、こういう暮らしをしてみてはいかがですか?』と提案できるのが、設計の仕事だと思っています」と語る鈴木さん。Iさんが提示した予算どおりに仕上げられたというI邸は「我が家があまりに快適なので、外出することが少なくなった」とIさんが微笑むとおり、「みんなにちょうど良い家」になった。
DATA
床材 | 無垢(パイン) |
---|---|
壁材 | 塗り(プラネットウォール) |
窓仕様 | 樹脂サッシ Low-Eトリプルガラス |
屋根材 | ガルバリウム鋼板 |
外壁材 | 吹付(ベルアート) |
断熱材 | グラスウール(ダブル付加断熱) |
UA値 | 0.28W/㎡K |
C値 | 0.30c㎡/c㎡ |
設計・施工 / 株式会社鈴喜代 | 竣工 / 2016/4
構造・工法・規模 / 木造軸組工法・2階建 | 敷地面積 / 235.46㎡(71.22坪) | 床面積 / 157.33㎡(47.57坪) / 1階 48.03㎡(14.54坪) 2階 49.68㎡(15.03坪) ガレージ 29.81㎡(9.02坪) 小屋裏収納 29.81㎡(9.02坪)
暖房設備 / ヒートポンプエアコン(電気) | 給湯設備 / エコキュート | バス / Panasonic オフローラ | トイレ / 1階 Panasonic アラウーノ | キッチン / Panasonic ラクシーナ | 調理設備 / IH | 換気システム / 第1種換気 | 太陽光発電設備 / 5.86kW | ZEH | 地域型住宅グリーン化事業ゼロエネルギー補助金採用
建築総工費 / 2,300万円台
坪単価 / 45~50万円
太陽光発電設備費用 / 180万円