WORKS JUU掲載の施工事例

CASE46 山本組 / T邸

築50年の住宅を茶室に数寄屋造りの離れを住み開く

 自宅である母屋と同じ敷地内にあるこの離れは、元はTさんのお母様がお住まいだった築50年もの日本家屋だった。妻のSさんは裏千家の茶道を修道しており、お弟子さんも取っている。また地域の民生委員も務めているので、離れを茶室として、また地域の人々が気軽に集える場所として地域に開放したいという思いから、T邸の改修はスタートした。
 設計士であり、大工を務める山本さんが心がけたのは、元々あるものをできる限り生かすことだった。「元の家も掃除が行き届いており、大事に住み継がれてきたことがわかる家でした。屋根も梁もほとんど元あったものを使っています」と山本さん。Tさんも「うれしかったのは、両親が真心込めて作ってきた庭を、ほとんどそのまま生かしてもらったこと。台所も、昔の木とステンレスのシンクのままなんですよ。こうして昔の面影のある場所と、新しい茶室の使いやすさが共存している。こんなすばらしい空間を作ってくださったことに心から感謝しています」と顔をほころばせる。
 離れには以前からお仏壇を置いている。毎日お仏壇に水とご飯を上げ、花を絶やさない日常はそのままに、茶室では茶道のお稽古のほかにも、町内の茶話会を開くなど、地域のコミュニケーションの場として使われている。

DATA
床材畳、無垢(赤松、栗)
壁材塗り(けいそう聚楽)
窓仕様木製サッシ 単層ガラス
屋根材ガルバリウム鋼板
外壁材塗り(京外壁)
断熱材グラスウール、フェノールフォーム、羊毛

設計 / 有限会社 山本組 二級建築士事務所 | 施工 / 株式会社古民家ライフ、有限会社山本組 | 竣工 / 2014/5
構造・工法・規模 / 木造軸組工法(伝統的手法)・1階建 | 敷地面積 / 132.23㎡(40.00坪) | 床面積 / 89.26㎡(27.00坪) / 1階 89.26㎡(27.00坪)

暖房設備 / 個別暖房(灯油) | 給湯設備 / 瞬間湯沸かし器(ガス) | バス / なし | トイレ / 1階 既存便器を流用 | キッチン / 既存流し台を流用(蕎麦茹で用の大型コンロ増設) | 調理設備 / ガス | 換気システム / 伝統的工法により、設置なし物

建築総工費 / 3,200万円台
坪単価 / 115~120万円