WORKS JUU掲載の施工事例

CASE456 花田設計事務所 / M邸

風景に開かれた、 集大成の住まい

「外に住みたい」。これが施主・Mさんの家づくりのコンセプトである。20年以上前、自ら伐採・抜根した600坪を超える敷地に桜の苗木を植え、時間をかけて整えてきたその場所は、今やプライベートな公園のよう。Mさん一家の暮らしを包むような、豊かな庭に育った。この庭で暮らしているように感じられる住まいを||。それがMさんの家づくりのテーマとなった。
 住まいは平屋に近い構成とし、1階のLDK、水回り、母の個室などほぼすべての部屋に掃き出し窓の大開口を設けた。その先には広いウッドデッキが広がり、庭と室内を自然とつないでいる。自ら整えた敷地の桜が、室内のどこからでも見える。「景色がよく見えて、居心地がいい家を」という思いがかたちになった。
 築50年近かった元の家を建て替えるきっかけは母の「家が寒い」の一言だった。住宅設備関連の仕事をしているMさんは、断熱や構造といった専門領域にも深い関心を持ち、「理屈を尋ねると納得する答えをもらえたのが花田さんだったんです」とビルダー選びの理由を振り返る。「Mさんは通り一遍の断熱の考えに疑問をお持ちでした。我々の考え方をお伝えし、内覧会にて温かさや快適性を体感していただいた上で、対話を通して家づくりを進めてきました」と花田さんも語る。
 もうひとつ、この家の大きな軸となったのが「木」だ。前の家でカツラの銘木でワークデスクを誂えたときから銘木に目覚めたというMさんは、家を建てる以前からケヤキやヒノキを探して歩いたという。30センチ厚のヒノキのカウンターをはじめ、上がりかまち、テレビボード、ワークスペースなど家の随所に自らの足で探してきた銘木を施主支給にて使用。「大工さんは大変だったと思います」とMさんと花田さんは声を揃えて笑うが、腕の立つ職人たちも期待に応え、銘木を生かした和モダンな住まいが完成。
 Mさんは住宅設備関連の仕事に長く携わってきた。その知見と経験、人とのつながり、素材へのまなざしのすべてがこの住まいに結実している。丁寧に手をかけ、時間をかけてかたちにしたこの家は、Mさんの生き方そのものを映し出す、かけがえのない一棟となった。

DATA
床材フローリング(オーク)、
長尺塩ビシート
内壁材ビニールクロス、
窯業系内装材、
タイル
屋根材ステンレス鋼板
外壁材ガルバリウム鋼板、
木材(杉)、タイル

設計 / 花田設計事務所 | 施工 / 株式会社西村建設 | 竣工 / 2024/6 |構造・工法・規模 / 木造軸組工法・2階建 | 敷地面積 / 2,024.87㎡(612.52坪)|床面積 / 215.23㎡(65.10坪)/ 1階 115.03㎡(34.80坪)、2階 39.33㎡(11.90坪)、インナーガレージ 60.86㎡(18.41坪)、ウッドデッキ 41.74㎡(12.6坪)

暖房設備 / パネルヒーター(灯油)、床暖房 | 給湯設備 / エコフィール(灯油)| バス / TOTO シンラ | トイレ / TOTO ネオレスト | キッチン / TOTO ザ・クラッソ | 調理設備 / IH | 窓仕様 / アルミ樹脂複合サッシLow-E ペアガラス | 断熱材 / グラスウール、EPS | 換気システム / 第3種換気 | 長期優良住宅 | 断熱等級5 | UA値╱0.42W/㎡K

建築総工費 / 7,000万円台
坪単価 / 105~110万円