照明を主体にした空間設計 シンプルモダンを基本に

　リビングの吹抜空間に、まるで宇宙に輝く星たちを思わせる照明が輝く。「メインの照明はいつも見ていたいものを」と、Iさん夫妻が選んだのがモーイ社の「レイモンド」だった。I邸はこのレイモンドを設置することを前提に設計されている。個性ある住宅づくりに定評のある児玉建設にとっても初めてのケースで「おもしろい。やりましょう」と引き受けたという。
　数年前から家づくりを検討していたIさんたちは、児玉建設による潟上市の2世帯住宅をJUU9号の誌面で見て魅了された。「調べてみると、市内で見かけて気になっていた住宅の多くを児玉さんが手掛けていたことが分かり、ぜひお願いしたいと思いました」と妻のTさんは振り返る。
　サイズ違いの3つのレイモンドが最大限に映えるよう、リビングは2階までの吹抜のあるスキップフロアを採用した。特筆すべきは1階キッチン、2階の寝室、多目的室などすべての部屋から照明が見えるようにつくられていることだ。レイモンドはシンプルなボール型の本体にLEDが散りばめられている。この抜け感と、オブジェとしての美しさも相まって時間帯や見る角度によって違った表情を見せるとIさん夫妻は言う。「朝起きてから寝るまで、さまざまな角度からの眺めを楽しんでいます」と、Tさんは満足そうに語る。
　生活感を感じさせるものがない空間はアートギャラリーを思わせる。洗練された空間に居心地のよさと温かみを加えているのが、ポイントで使用している天然素材だ。「床材やリビングの一部壁面を石材にするなど、本物の持つ良さを生かしています」と児玉さんは説明する。
　ダイニングで過ごすことが多いというIさん夫妻。「リビングのフロア全体が浮いている感じがいい。ダイニングからの眺めがゆったりとした気分にさせてくれます」と話すIさんに、Tさんも「好きなものを眺めていられるので楽しい。生活と仕事両方のモチベーションが上がります」と同調するのだった。