「家族いっしょの団らん」と「プライベート」を分けた居心地のいい家

　長女の愛菜ちゃんが小学校に上がる前には「実家」と呼べる場所を持たせてあげたいという思いで、ずっと土地を探していたというIさん。「家づくりに際し、注文住宅の実例をできるだけ多く見て、自分の生活スタイルと照らし合わせながらイメージづくりをしました」と話す。
　理想としたのは、家族がそれぞれ自分のことをしていても、自然と同じ空間でゆったり過ごせるような家づくり。1階は開放的なリビングを中心に、スキップフロアになったワークスペース、和室までをキッチンから見渡すことができる。
　また、1階は行き止まりのない回遊動線になっているため、家事効率もいい。「子どもたちが走り回る距離が増えて、のびのび遊んでいる様子がうれしい」とIさん。リビングに面したウッドデッキでは子どもたちがプール遊びや、友人を招いてバーベキューなど、マイホームでの暮らしを満喫しているという。
　リビング階段を上がると、今度は１階とは対照的に、子ども部屋が二つ、寝室、1.5坪とミニマムながらIさんの書斎という、プライベートを重視した間取り。「書斎をつけたので、2階のトイレを諦めました。ご覧のとおり広くはないですが、自宅に仕事を持ち帰ることも多いので、書斎はつけてよかったと思います」とIさんは語る。
　家づくりは取捨選択の積み重ねだが、納得のいく選択をしている家族は、自分たちの普段の生活をしっかりと振り返っているところにポイントがあるようだ。I邸では熟考ののち、前出の2階のトイレと、玄関クロークをつけないことにした。「以前住んでいた家でもトイレは1つでも不便を感じてはいなかったですし。玄関クロークは、便利そうでいいなと思いましたが、自分たちの生活スタイルでは必要最低限のコートかけとバッグを置く場所があれば十分と判断。シューズボックスの横に小さな収納スペースを設けることにしました。我が家にはちょうどよかったと思っています（Iさん）」。