WORKS JUU掲載の施工事例

CASE01 西方設計 / Y邸

超省エネの高断熱住宅で、暖かさと自然素材に包まれる家

 一歩入ると杉の香りが心地いいY邸。吹き抜けのあるリビングは大開口が明るく開放的だ。「好きなものに 囲まれて暮らしを楽しみたいという思いがあった」という妻のNさんの言葉どおり、丁寧に使われてきたと思しき上質な家具が暮らしになじんでいる。
 友人を自宅に招いてホームパーティーをすることが好きだというY家。「キッチンは子どもやお客さんからも見えてもいいので、皆で一緒に料理が作れるようにオープンなつくりにしたかったんです」という妻のNさんの希望も叶えられたスペースだ。
 この家の設計は高気密・高断熱住宅提唱の第一人者である西方里見さんによるもの。西方さんは秋田を拠点にドイツ、オーストリア、北欧などパッシブデザインの先進国の建築を学び、自身の住宅理論を構築してきた。今や住宅建築の常識となりつつある「高断熱・高気密」という考え方を、年代からずっと牽引しつづけてきた日本を代表する建築家の一人だ。合理的な断熱・省エネに対する西方さんの実績に、「ここまでた どり着いたらもう他と迷うことはなかった」というYさん。極めて熱損失の少なく、熱効率のいい省エネ住宅ながら、秋田スギや漆喰など自然素材をふんだんに使った人と環境に優しいデザイン。それらが両立していたことも決め手になった。
 特徴的なのは暖房設備。床下に設置したエアコン(14帖用)1台で家中を暖めるというから驚きである。床下には暖房のためのコンクリートの基礎があり、暖気をダクトを通すことなく全体に行き渡らせるのだという。エアコンは家の空気を暖めるというよりむしろその基礎を暖めるためのものなのだそうだ。入居当初、エアコンを24時間運転することになかなか慣れなかったが、「エアコンはオン/オフにもっとも電力を使う」という西方さんの説明を受けて実践したところ、ひと冬越してみての感想は「すみずみまでほんのり暖かくて、とても心地いい(Yさん)」。「直接温風などを感じないのに、どこにいても暖かい(Nさん)」と夫婦で口を揃える。
 DIYで手がけたという内外装の塗装は「やってみたら思った以上に大変でした(笑)。でも、なかなか経験できることじゃないし、苦労もいい思い出になるものですね。自分たちの家だから、できるところをやってみるのは楽しかったです。家に対していっそう愛着もわいたように 感じます(Yさん)」とのこと。

DATA
床材スギ無垢
壁材漆喰塗り壁、クロス(水回り)
窓仕様木製サッシ高透過Low-Eペアガラス
木製サッシLow-Eトリプルガラス
屋根材ガルバリウム鋼板
外壁材秋田赤なまはげ杉板
Q値1.07W/㎡K
UA値0.38W/㎡K

設計 / 有限会社西方設計 | 施工 / 大友建設株式会社 | 竣工 / 2014/10
構造・工法・規模 / 木造・在来工法・2階建 | 敷地面積 / 254.84㎡(約77坪) | 床面積 / 198.99㎡(約60坪)/ 1階 107.91㎡(約33坪)/ 2階 91.08㎡(約28坪)

暖房設備 / 床下エアコン | 給湯設備 / エコジョーズ | バス / TOTO サザナ | トイレ / LIXIL サティス | キッチン / 造作 | 調理設備 / ガス | 太陽光発電設備 / 3.10kW | 長期優良住宅認定あり

建築総工費 / 4,400万円台
坪単価 / 70~75万円
太陽光発電設備費用 / 150万円コスト(税抜)